一方でマクラーレンのスタッフたちが、かつての栄光を取り戻そうと必死であること、そして何よりも直接のライバルたるレッドブルを打倒しようという熱意には、相当のものが感じられる。ここ数年、レッドブルにTAGホイヤーやモービルといった貴重なスポンサーを奪われ続けたこともある程度は関係しているだろう。
エンジニアにしても、たとえば天才エイドリアン・ニューウェイはマクラーレンを去って、レッドブルを頂点に押し上げた。逆に彼の右腕だったピーター・プロドロモウは、マクラーレンに移籍している。マクラーレンはプロドロモウの後任ダン・ファローズまで引き抜こうとしたが、彼はレッドブル残留を選択した。

とはいえ『打倒レッドブル』と、熱くなっているのはマクラーレンだけという気もする。両マシンの性能差は、それぐらい大きいと思われるからだ。
一方でレッドブルとルノーの関係の悪さは、マクラーレンとの比ではない。そしておそらく今年いっぱいで、両者の契約は終わることだろう。なのでマクラーレンとしてはその隙に、ルノーとの間に単なるカスタマーではない特別な関係を結ぼうと目論んでいるようだ。
しかし問題は、供給主たるルノーがマクラーレンの直接のライバルになる可能性が高いことだ。ルノーは毎年着実に戦闘力を上げ、今季は中団トップの地位を狙っている。マクラーレンも目標は同じで、あくまで信頼性の問題さえ克服できればだが、予選、レースともにかなりの速さを見せるはず。
今季は両者のガチンコ勝負が、何度も繰り広げられることになるだろう。そんな状況でも、マクラーレンに喜んで最新仕様のPUを供給し続け、さらに緊密な関係を結ぶほどルノーが太っ腹かどうかも含め、この両者の闘いも注目である。