更新日: 2018.04.16 16:15
不屈の闘志で勝利をもぎとったリカルドが歓喜の“シューイ”【今宮純のF1中国GP決勝分析】
撃墜王の妙技をじっくり見直すその前に、31周目に“2台同時ピットストップ”を完全に遂行したピットワークが素晴らしかった。
今年はいくつものチームが“アンセーフ・リリース”を犯している(CS中継でベテラン西岡アナが「今年の流行語かもしれません(?)」と指摘したのはそのとおり)。
・37周目:キミ・ライコネンを14コーナー・インから。特筆すべきはまだDRSが使えないときに、直線最高速度が遅いと言われても手前13コーナーからの加速力を活かして5番手へ。
・40周目:ルイス・ハミルトンを同じ14コーナーでインから。既に22ラップしているミディアムでは抵抗できない相手の心理を読みとり3番手に。
・42周目:セバスチャン・ベッテルを14コーナー手前の直線で並走しながらパス。参考データを挙げると、このバックストレートにある最高速計測地点でリカルドはベスト334.3KMH、10位にすぎない。データはデータでしかなく、リアルなバトル(中間速度)でまさり2番手へ。
・45周目:バルテリ・ボッタスを6コーナーでインから。それまでと違うここで仕掛けたのは、相手側(メルセデス)が無線で注意を指示していたからだろう。
この6コーナー手前にはセクター1計測ポイントがあり、そこでリカルドは最速290.5KMHをマーク、これがレッドブルの“追い越し加速力”なのだ。一方ボッタスはもうぎりぎりライフのミディアム、完全にインをふさぐブロック・ラインをとったら止まれない。それを事前に読み、ブロックが甘くなったその内側に刺しこんだ強い減速力、これで1位だ。
前方にもう撃墜すべき敵機はいない。すると“撃墜王”は闘いの仕上げを楽しむかのように、55周目に最速ラップ1分35秒785。
開幕戦に続きリカルドは今年3戦で2度目、だが昨年のハミルトン最速ラップには0.407秒届かなかった。つまりレースペースは今年、それほど速くはなかった。それでも見ごたえじゅうぶん、今年ここまでのベストレースだった3戦目だ――。