ロス・ブラウンは評判のよい選択肢であるが、彼は既に引退しており、またその隠居生活を非常に楽しんでいる。そのため、かつてのフェラーリの技術代表は再びその職を務めそうにない。多くのエンジニアにとって、跳ね馬の重要なポジションに就く機会を断ることはしないだろうし、ブラウンのかつての同僚ロリー・バーンもそんなオファーを無視しなかった。しかし、たとえブラウンがフェラーリの顧問になったところで、現場の最高技術責任者は不在なのだ。
その他、興味深い選択肢があるといえば、それはレッドブルのエイドリアン・ニューウェイのヘッドハンティングであろう。しかしニューウェイは既にF1の第一線からは退いて、興味が赴く他のカテゴリーにご執心だ。かつてニューウェイはフェラーリに接近したことがあったが、今となっては彼がフェラーリとフルタイムの契約を結ぶことはなさそうだ。
これは、フェラーリが求める人材の選択肢を広げなくてはいけないことを意味している。メルセデスのエグゼクティブディレクターであるパディ・ロウは現在の居場所で成功を収めており、たいそう幸せそうである。この状況で、フェラーリへの興味がメルセデスへの興味に勝るであろうか。
メルセデスのトップであるロウでなくとも、彼の先輩たちはどうだろうか。アルド・コスタとジェフ・ウィリスはどちらもよい選択肢だと言える。コスタはかつてフェラーリの技術部門を率いており、2011年にパット・フライが加入してきたことでチームを離れた。コスタの度重なるフェラーリ批判はイタリアのチームに加入するに当たって不利に働くかもしれないが、裏を返せば彼は問題を選別するのにうってつけの存在である。