■道具へのこだわり=クルマへのこだわり
そして、ブルーノがシューズの次に挙げるのがレーシンググローブだ。

「ステアリングを直接握るものであるためフィッティングが重要で、それに対してドライバーは敏感になる。また、ヘルメットの下に着用するバラクラバは顔という神経が密集している部分に接触するため、不快感につながりやすい」
「最近のF1では、無線のマイクの設置やドリンクチューブの関係から、バラクラバに対する技術的要求が高まっているんだ。マイク用のポケットを作ったり、高精度のマイクを設置するためポジショニングに気を配ったり、また不快感を低減するためにより薄く、縫い目を目立ちにくくしたりしている。ただ、構造上縫い目をなくすことはできないので、そこが技術開発を進めていく上での至上命題だ。また、快適性にはアイテムの素材も関わってくる」
「総じて言えることは、レーシングギアのフィードバックが優れているドライバーは、マシンのフィードバックにも長けている。このフィードバックのスキルはチームに所属する人間としては必須の能力で、マシンの調子が悪い理由が自分で分析できる人間は、改善点をチームに伝えることができるから、レースの結果が変わってくるんだ」
「それと同じことが道具にも言えて、シューズの履き心地が悪い理由を伝えてくれれば、より良いものを提供できるため、結果につながってくる。それができていたのがシューマッハーだったんだよ」
