実はレース週末を迎える前から、ホンダの田辺豊治テクニカルディレクターはこう語っていた。
「4本のストレートと低速コーナーを組み合わせたようなサーキットですが、最終セクターのターン11あたりも気になるなという感じですね。ここは結構風も強いですし、どういう挙動を示すかフリー走行で確認しなければなりません」
「どこのチームも同じでしょうけど、もう何年も走っていないほぼ初めてと言えるサーキットですから、パワーユニット側にしろシャシー側にしろ、シミュレーションしてきたものと付き合わせ見直してFP2、FP3に向かう。とにかく初めてなんで、よく見てセッティングをしていこうという言い方をしていました」


フェラーリやマクラーレンなどは2年前、メルセデスAMGに至っては今年に入ってからピレリのタイヤテストで走行したことがあり、テスト内容はピレリが決めチーム側には伝えられないブラインドテストであるとはいえ、車載データロガーの走行データは残る。チームはそのデータを元にセットアップのシミュレーションを行なうこともできるのだ。それに比べれば、走行経験の無いトロロッソは不利だった。
ガスリーはQ2から急にアンダーステアがキツくなり「本当に酷いラップだった」と無線では落胆を露わにしていた。ストレートが伸びなかったのは初日からの症状だったが、それがラップタイムに繋がらなかったのはQ2になってからのことだった。つまり、ストレートを犠牲にして稼ぐはずのコーナーで、グリップ感がなくなり稼げなくなってしまったから競争力を失ってしまったのだ。
それが風向きのせいだったのか、タイヤのウォームアップのせいだったのか、トロロッソは明確な答えが見付けられないまま決勝を迎え、ガスリーは1周目で事故に巻き込まれてリタイアし、ブレンドン・ハートレーは最後尾グリッドスタートでギャンブル的な戦略も当たらず下位に沈んだ。
シーズン序盤戦に苦しんだSTR13のマシンパッケージの理解不足によるセッティングの不備はすでに修正できているが、経験値のないサーキットに来たことでこれが再び露呈してしまった形だった。