
ひと昔前は首に負担がかかるコースではネック・サポートをヘルメットに付けられた(今はできない)。軽々に「3連戦の蓄積疲労が出た」とは言えないものの、土曜からベッテルはフィジカル面で不安を抱えた。後になって思えばたしかに土曜FP3途中でマシンを離れた彼は眉間にしわを寄せ、なにかに耐えている(ようだった)。
余談だがここシルバーストーンは地盤がとても固い。「だからほかのサーキットのようにコース外とパドックを結ぶトンネルが無い」、と聞いたことがある。2月に全面再舗装されていままであったバンプもスムーズな路面になったと想像したのだがそうではなかった。金曜FP1から路面がバンピーだという声がドライバーから出た。土曜さらにタイム次元が上がると、マゴッツの高速S字区間などでライコネンのヘルメットが上下・左右に微振動しているのが見られた。通常のバンプと違う路面・共振によってそうなったのだろうか……。
首の周りにテーピングをしたベッテル、メディカル・チェックでは問題無かったのだろう。スタートダッシュ後、5周目に5.188秒リードするとギャップをコントロール。2度のセーフティカー(SC)導入ランがもしかすると彼にとってはいい“首休め(?)”になったのかもしれない。
またこのSC導入によってハミルトンはステイ・アウトしてタイム差を詰められた。そのたびに大観衆から大声援、52周レースの“ファイナル・ヒート10周”がめったにないF1スプリント・ステージに。
47周目にベッテルがボッタスを抜き1位、48周目にはハミルトンが2位、49周目にはライコネンが3位。ここまで30周前後も長いスティントで粘ったボッタスは彼らの“引き立て役”に、チーム団体戦をまっとうするしかなかった。
ハミルトン個人vsフェラーリ軍団となった今年の『バトル・オブ・ブリテン』を、イタリアン・チームが席巻勝利。ハミルトンがイギリスGP最多優勝となる6勝目になるかと注目されていた完全アウェーの試合で、逆にフェラーリが最多の17勝目となった。今シーズン21戦の折り返し地点をチャンピオンシップ首位でターン。ベッテル勝率40%は13年レッドブル時代にも匹敵する――。