ふたりももちろん息子のレッドブル入りを期待していたが、つい最近まではほとんどその可能性はないと思っていたという。その間の事情を、パスカルはこう話してくれた。
「7月のシルバーストンで他のドライバーたちと一緒にダニエルとも夕食を食べたんだけど、その時の感じでは全然残りそうな雰囲気だったの。2019年の話をしたりね。だからピエールもその時は、『そしたらもう1年、トロロッソで走るだけだし』って言っていたくらい」
それが急転直下、ガスリーはわずか1年ちょっとトロロッソに在籍しただけで、レッドブルへと出世することになった。

「これはほとんど、セバスチャン・ベッテルに並ぶ記録なんですよ」と言うと、「もちろん知ってるよ」とジャンジャック。
「さらに言うなら、これまでトロロッソには(セバスチャン・)ブルデーとか(ジャン・エリック・)ベルニュとか、少なからぬフランス人が在籍したけど、レッドブルまでたどり着けたのはピエールが最初だからね。そしてレッドブルに限らず、F1のトップチームに久々にやって来たフランス人ドライバーということにもなる」
最後にフランス人がF1で勝ったのは、1996年のモナコGPでのオリビエ・パニスまで遡る。もう22年も前のことだ。はたしてガスリーがパニス以来の、フランス人勝者になるのか。
「そうならない理由は、今のところ全然見当たらないね」と、両親は息子に全幅の信頼を置いているのだった。