更新日: 2018.09.25 12:47
【トロロッソ・ホンダF1コラム】ライバルとのマシン性能差が露呈か、シンガポールGPの惨敗で見えた厳しい現実
決勝では15番・17番グリッドスタートゆえにハイパーソフトでスタートするギャンブルを敢えて選んだ。周りと同じウルトラソフトタイヤで同じ戦略を採っても、入賞圏までポジションアップできるほどのチャンスは巡ってこないからだ。
スタートでピエール・ガスリーが12番手まで浮上したのは、ギャンブルが成功したからだ。そこからのペースも、前のニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)についていき、後ろのザウバー勢に脅かされることはなかった。
しかしタイヤがタレてきた15周目あたりからはペースが落ち、苦戦を強いられた。ここでピットインせず26周目まで引っ張ってしまったのが失敗だった。
「思っていたよりもデグラデーションが大きくて15~6周目にはタイヤがタレ始めてしまってかなり苦しんでしまった。そこから26周目まで引っ張ったけど、それはかなりタフだった。ウルトラソフトに履き替えてからは(セルゲイ・)シロトキンに抑え込まれたりブルーフラッグの混乱があったり、もうめちゃくちゃだったね。そのあたりで15~20秒は失ったし、レースはかなり妥協を強いられてしまった。いずれにしても今週末の僕らにはトップ10圏内で争う力はなかったけどね」(ガスリー)
しかし、15周目に早々にピットインを済ませたヒュルケンベルグに較べ、ガスリーは26周目まで引っ張ったことで、ヒュルケンベルグのピットストップ前は1.2秒だった両者の差は12秒まで広がってしまった。そしてヒュルケンベルグが10位でフィニッシュしたのに対し、ガスリーは14位に終わった(ロマン・グロージャンの5秒加算ペナルティで、ガスリーの順位が繰り上がって最終結果は13位)。
「デグラデーションはほぼ我々の想定通りだったんだ。しかしガスリーについては本来想定していたよりも長く引っ張ってからピットインさせざるを得なかった。そうしていなければ極めて遅いウイリアムズ勢のトラフィックに捕まってしまってさらに大きくタイムロスすることになっていたはずだからね。もし本来の予定通りに20周目あたりでピットインしてウルトラソフトでもっと長く走ることができていれば、結果は変わったかもしれない」
エドルスがそう語るように、トロロッソは中団勢の最後方にいたウイリアムズ勢を見て、彼らと充分なギャップができるまではピットインしたくなかった。しかしガスリーの低下したペースを見れば、それは現実的ではなかった。ヒュルケンベルグと同じタイミングでピットインしていれば、傷口はあそこまで広がることはなかったのだ。