更新日: 2018.09.25 12:47
【トロロッソ・ホンダF1コラム】ライバルとのマシン性能差が露呈か、シンガポールGPの惨敗で見えた厳しい現実
ヒュルケンベルグと同じタイヤを履いていたのだから、ガスリーは10位争いができたはずだった。それが入賞の望みのないレースになってしまったのは、ハイパーソフトでスタートするギャンブルが失敗だったからではなく、ギャンブルに成功したにもかかわらずその後の戦略が失敗だったからだ。
ただし、純粋なペースが足りないことも事実だった。
「ピットインした直後に新品のウルトラソフトを履いたガスリーは、それまで争っていた相手であり25周も古いウルトラソフトを履いた(シャルル・)ルクレールとほぼ同じペースでしかなかった。つまり我々のクルマはそれだけ遅かったんだ、残念ながらね」(エドルス)
第13戦ベルギーGPと第14戦イタリアGPでの好走が示したように、今のF1はパワーユニットの性能よりもマシン性能と戦略が大きくモノを言う。得意なはずのサーキットでも簡単に下位に転落してしまうほど、その影響は大きいのだ。
実を言えば、第12戦ハンガリーGPからの3戦連続の好走は、コンディションやライバルの失策に助けられたものでもあったとチームは見ている。
「スパやモンツァではある意味、我々よりも上位にいたはずのマシンが予選や決勝で本来の力を発揮することが出来なかったことでああいった結果になったと分析しているが、今回はほぼ全てのマシンが本来の力を発揮したことで実力通りの結果になったんだ。このような結果になってしまったのがなぜなのか、同じようなサーキットであり競争力を発揮することができたモナコやハンガリーなどのサーキットと較べて何が違ったのか、それを分析して原因を究明する必要がある」
つまり、ハンガリーでは予選の雨、ベルギーやイタリアではザウバーなどライバルが自滅したことであの位置まで浮上することができたが、トロロッソ・ホンダの本来の実力はシンガポールのような中団グループの下位だったのではないか。シンガポールでは、外的要因がなくその実力通りの結果が露呈しただけではないかというわけだ。
実際のところ、STR13は第9戦オーストリアGPで投入した新型フロントウイングが失敗で実戦使用できず、基本的な空力パッケージはシーズン序盤戦とほとんど変わりがない状態だ。ルノーやザウバーが急速にアップデートを進める中で、相対的にマシンのパフォーマンスが低下しているのは否めない。
はたして、シンガポールGPの結果が今のSTR13本来の実力なのか、他に何らかの要因があって実力を発揮しきれなかったのか。日本のファンにとっては、日本GPを前に大きな不安に直面することとなった。次戦ロシアGPまでにその答えが見付けられることを願いたい。