興味深いのは、ロシアGPにホンダがスペック3を投入することは発表前の段階でメルセデスも把握していたことだ。しかも、彼らは性能の情報も入手していた。その情報もまた『35馬力以上の向上』とされている。そして「これによってわれわれとの差は約30馬力程度に縮まった」(某メルセデス・エンジニア)という。
ただ、そのエンジニアはかつてBARホンダ時代からホンダと仕事していた経験があり、「ホンダのデータは希望的観測で楽観視しているケースが多いので、この数字がそのまま性能向上に繋がらない可能性もある」と指摘している。
一方、ルノーはスペックCのパワーユニットを投入しているものの、「標高の高い第19戦メキシコ(海抜2000メートル)や第20戦ブラジル(海抜700メートル以上)では苦戦することをわかっているため、新品のスペックBをプールするために、今回ロシアGPではレッドブルが2台そろって、前戦シンガポールGPで使用していたスペックCではなく、新品のスペックBを下ろしている。
しかし、メキシコGPやブラジルGP以外のサーキットで予選ポジションが重要になるグランプリでは、予選モードに優れ温存しているスペックCを再投入してくる可能性はある。
そのスペックCが、どれだけの性能を発揮するのか?
ホンダ対ルノーの激しい戦いは、この後もしばらく続きそうだ。