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投稿日: 2018.10.08 16:04
更新日: 2018.10.09 11:33

F1 Topic:トロロッソ・ホンダに一度許可された内容がレース直前のグリッドでFIAから却下された理由


F1 | F1 Topic:トロロッソ・ホンダに一度許可された内容がレース直前のグリッドでFIAから却下された理由

 点火時期の遅延処理は、点火タイミングを後ろにズラすことで爆発している時間を短くすることができ、エンジンの負荷(パワーとトルク)を抑え、オシレーション(エンジンとギヤボックスの共振)を軽減させ、エンジンの保護につながる。つまり、ホンダは安全性の観点から、FIAへ変更を申請していた。

 ガスリーはグリッドに着く際のレコノサンスラップで変更したセッティングで走行し、予選時よりもドライバビリティが改善されていることを確認して、7番手グリッドにマシンを停めた。しかし、その走行情報はFIAのスタッフも関しており、FIAはこの点火時期の遅延処理が結果的に、パワーユニット(PU/エンジン)の性能向上につながっていると判断したと考えられる。

 これに対して、レース後、レースディレクターのチャーリー・ホワイティングは、次のように説明した。

「予選後、FIAはトロロッソ・ホンダからパワーユニットのセッティングに関して、変更したいという要求を受けました。しかし、彼らの要求はトルクデマンドがあまりにもオリジナルとは異なるものだったため、われわれは認められないと拒否しました。そのあと、どの程度なら、変更できるかについて話し合い、そのレベルを指示したしていたのですが、グリッド上でわれわれが彼らのセッティングを確認すると、われわれが指示していたレベルではないものが使われていたため、オリジナルのセッティングのものに戻すよう伝達したのです。今回の一件は、トロロッソのミスだ」

 トルクデマンドとは、内燃機関のトルクの制御方法として、要求トルクに基づいてスロットル開度と点火時期とを協調制御することだ。

 ただし、今回の一件は、F1をスポーツとして見た時、法の番人であるFIAのあり方に関して、疑問が残る。

 なぜなら、このやりとりがグリッド上で口頭で行われた伝達だったからだ。筆者はそれを目撃していたから、状況をある程度把握していたが、ガスリーがそのような状況でレースを行なっていたことは、ほとんどのメディアも含め、サーキットにいた8万人以上の人たちはレース前も、そしてレース後も知らない。

 なぜなら、FIAからはレースが終わったいまも、いったん認めた『Post shift ignition retard settings』の変更を取り消したという事実を、文書として出ていないからだ。

 グリッド上で、セッティングを変えろ(元に戻せ)とFIAがチームに伝達することは、90年からF1に携わっている田辺TDも「初めてのことだった」と驚きを隠さない。

 そして、こう語った。
「今後、FIAと話し合います」


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