しかし、ここがマッサにとって悩みの種であった。彼は今シーズン序盤6戦でボッタスよりもポイントを獲得しているが、その後は安定したレースパフォーマンスを出せずに苦戦を強いられた。ボッタスは予選ではマッサを完璧に凌駕しており、対マッサの勝率は12戦で10勝であった。
ウイリアムズは2017年度のドライバーラインアップについて事実を隠そうとはせず、テクニカルディレクターのパット・シモンズはトップドライバーを迎える準備をしていることを明かし、2009年のワールドチャンピオンであり、F1のキャリアをウイリアムズでスタートさせたジェンソン・バトンと話を進めている。
2人のドライバーをコントロールするには、両者が同じレベルであると良い。しかし、グループを円滑に進めたければ、同じクルマを使い、お互いを高め合うことのできるドライバーが必要になる。同レベルのドライバーを集めたければ、ポテンシャルを秘めた若手ドライバーを迎えつつ、進歩や改善に時間をかかることを覚悟しなければならない。もし、すでにチームに輝かしい経験を持つベテランドライバーがいて、その利点を生かす環境があれば、若手の進化は効率的に実行できる。
マッサはまだウイリアムズに、ドライバーとしての恩恵をいくつか残せるであろう。実際、他チームのパドックでは、16年目のF1キャリアを続けるための機会について打診があった。しかしながら、マッサ自身が他チームのレーシングスーツを着ることを拒み、シモンズの発言があったにも関わらず、ウイリアムズでのキャリア続行を望んだ。
しかし現実的な意見として、それは限界を迎えていた。メルセデス、レッドブル、フェラーリは来季のシートが埋まっており、マッサが今から彼らの元でグリッドに上がることはありえない話である。そしてバトンの代わりに空席となるであろうマクラーレン・ホンダは、ストフェル・バンドーンの起用が既定路線となっている。
ウイリアムズは変化を欲している。ライバルであるフォース・インディアはセルジオ・ペレスとニコ・ヒュルケンベルグの保持に徹し、トロロッソはレッドブルの若手ドライバーの起用、マノーはメルセデスの2人のようなドライバー人選を望んでいる。ハースは経験を持ち、マッサより5歳も若いロマン・グロージャンと共に急成長するための基盤を固める意向である。
ルノーはマッサの行き先としては充分、可能性があるチームと考えられた。世間の見解ではルノーは経験値が高く、チームの促進に一役買ってくれるドライバーを望んでいるとされていた。