最大の問題はSTR13が得意としているはずのロングランが遅いということだった。タイヤの保ちが良くないことだけでなく、燃料を積むことによるタイムの落ちが他チームに較べて大きかった。
金曜から土曜に掛けて、予選パフォーマンスを多少犠牲にしてでもロングランを向上させるべくセッティングに変更を加えたものの、状況は改善できなかった。トロロッソのチーフレースエンジニア、ジョナサン・エドルスはこう説明する。
「結局のところ、今日の我々にはトップ10に留まるだけの速さがなかったということに尽きるだろうね。戦略的は上手く機能したものの、単純に我々より速いマシンに抜かれてしまった。金曜の時点で我々はショートランペースに較べてロングランペースに苦しんでいて、土曜日にかけてロングランペースを向上させるべくマシンのセットアップを変えてはみたものの、トップ10に留れるほどのロングランの速さはなかった」
「ショートランとロングランのデルタ(タイム差)が他のチームに較べて大きかったんだ。なぜ遅かったのか、現時点では我々にも分からないし答えることができない」
トロロッソは日曜のレース中盤以降に雨が降るという予想に賭けて、燃料搭載量を削った。その背景には、ショートランに較べてロングランのパフォーマンスが乏しいという事情があった。燃料搭載量を減らせばその分だけロングランのペースを上げることができ、タイヤへの負荷も減らすことができるからだ。
しかし雨は降らず、ザウバーやハースについていけなかったことでスリップストリームもDRSも使えず、後方からカルロス・サインツJr.(ルノー)らにプッシュされたこともあって燃費は想定よりもどんどん厳しくなっていった。

レースペースも良くはならず、タイヤへの負荷も減らなかった。結果、9番グリッドからスタートしたガスリーはケビン・マグヌッセン(ハース)とセルジオ・ペレス(フォース・インディア)に抜かれても付いていけず、最後は16番グリッドからミディアムタイヤで49周目まで引っ張ってスーパーソフトタイヤに履き替えたハートレーとサインツにも抜かれて13位。ハートレーもペレスから50秒遅れの11位に終わった。
最後は順位の入れ換えを指示するチームオーダーにガスリーが反発しちょっとした問題になったが、チームとしてはそれでポイントを失ったわけではない。ポイントが獲れなかった最大の理由は、マシンのパフォーマンスが足りなかったということだ。
セクター1と3のほぼ全てがストレートで構成されるインテルラゴスだけに、パワー不足のその原因のひとつであったことは確かだ。土曜以降はスペック3に積み換えたとはいえ、まだフェラーリユーザーに比べ遅れを取っていることは事実だからだ。
しかしインテルラゴスは決してパワーセンシティビティが高いわけではない。ストレート区間が長いように見えるが、タイムで言えばセクター1と3を足しても約33秒。逆にセクター2は34秒。中低速コーナーの多いセクター2で過ごす時間の方が長く、ラップタイム的にはストレートを速く走るよりもコーナーを速く走る方が速くなるのだ。