更新日: 2018.12.18 10:40
ホンダF1山本MS部長の2018年総括:開発の方向性が定まり熟成した1年。レッドブルへのPU供給にも期待
それではパワーユニットの開発について、山本モータースポーツ部長は、どのように評価しているのだろうか。
「パワーユニットの開発の伸びは、今年は非常に良かったと思っています。我々はレッドブルとの契約のこともあって、どうしてもスペック2をカナダGPに投入したかったわけですが、その期待に応えてくれました」
という一定の評価を下したものの、次のように課題も指摘した。
「当初の計画に対しては若干の遅れがあったことも事実です。スペック3の投入に関しては、もう少し早く投入できたでしょうし、投入したロシアGPではキャリブレーションの問題などもあってレースでの使用は見送らなければなりませんでした」
「(スペック3は)日本GPで本格的に投入されたものの、きちんと使いこなすことができたのかと、言われると疑問も残りました。これらの経験を来シーズンにきちんと活かしてほしい」
とはいえ2018年シーズン、ホンダはメルセデスやフェラーリと同様にパワーユニットの開発をスタートさせていたルノーに、ついに追いついた。この事実は4年目における大きな収穫だったと言っていいだろう。
「シーズンの途中で、研究所のスペシャリストの人たちを集めて、開発の方向性についていろんな議論を交わしました。その結果、開発が加速度的にスピードアップしました」
11月には、IHI(旧石川島播磨重工業)と2年間のテクニカルパートナーシップ契約を締結したことを発表した。ただしホンダは2015年の復帰参戦時からIHIよりターボの供給を受けているほか、1980年代の第2期F1活動時で多くの栄光をつかんだときに使用していたターボもIHI製で、両社は以前から密接な関係を築いている。
「このタイミングで発表したのは、IHIとミーティングをしている中で、『ホンダF1のターボがIHI製であることを公表することで、F1が技術的に非常にレベルの高い世界であることを、IHIのスタッフの方がホンダとともに共有し、かつIHIのスタッフの士気を高めることになりませんか』と提案したところ、IHIの役員の方も名前を出すことで自分たちの技術が具現化するいい機会だと賛同してくれました」