だが少なくともメルセデスはチームオーダー戦略について、チームのドライバーとファンに対して常に正直でオープンだ。メルセデスには、シーズン終盤に片方のドライバーに明らかにタイトルを獲得するチャンスがあり、もう片方にはない場合以外にはチームオーダーを出さないというポリシーがある。
一方でフェラーリのチームオーダー戦略は曖昧だ。2018年のドイツGPで、チームはライコネンに対し漠然とした指示を出している。最終的には苛立ったライコネンが、無線で「もし彼(ベッテル)に僕を抜かせたいのなら、そう言ってくれ!」と言うほどであった。
けれどもイタリアGP予選でのフェラーリはチームオーダーの発令や戦略を立てることをせず、結果としてライコネンがポールポジションを獲得している。ベッテルはグリッド2番手からスタートし、ハミルトンとの順位争いでスピンを喫することなり、最終的にハミルトンが優勝しベッテルは4位に終わった。
フェラーリの2019年のドライバーについてビノットは次のように語っている。
「非常に競争力のあるドライバーコンビを擁することは、問題ではなくチャンスだと考えている。セバスチャンは何も証明する必要はない。彼は我々のガイドなのだ。シャルルは自分でも指摘しているように、まだ学ぶことがある。だが彼にどれだけの才能があるかということを、我々は理解している。ふたりのドライバーがトップの座をかけて戦うという問題が起きることを、期待している」