
一方、チーフテクニカルオフィサーであるエイドリアン・ニューウェイも、名うてのインタビュー嫌いで知られている(本当は優しい人柄なのだが、とにかくシャイなのだ)。しかもモゴモゴと口ごもるために、何を言っているのか理解できないことが多い。しかし表彰台の下で捕まえたニューウェイは、短いながらも珍しく雄弁に、そして滑舌良く質問に答えてくれた。
──開幕戦表彰台おめでとうございます。
ニューウェイ:ありがとう。
──この結果は、レース前から予想していましたか?
ニューウェイ:表彰台に上がれるんじゃないかと期待していたし、ある程度の手応えはあった。しかし、メルセデスは予想以上に強かったね。
──一方のフェラーリは、ウインターテストで見せた速さが完全に影を潜めていました。
ニューウェイ:たしかに、バルセロナの速さはまったく発揮できていなかった。しかしそれはあくまで、このサーキット特有の現象だった可能性が高い。去年もそうだったしね。
──とはいえ、レースではタイヤに対して非常に負荷が高いマシンという印象でした。
ニューウェイ:そう。レースではその傾向はあるかもしれない。
──あなたの作った車体と、ホンダ製パワーユニットのパッケージには、今のところ満足していますか。
ニューウェイ:とんでもない。まだまだだ。完全な満足感を私はこれまで得たことがない。とはいえ、いいスタートを切れたことは間違いないね。