Mineoki Yoneya
2019年F1第3戦中国GP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)
2019年F1第3戦中国GP セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)

フェラーリ:行っても良いぞ、プッシュしろ。

ベッテル:あぁ、近付こうとしているよ。

 そして10周目、ついにチームからはドライバースワップの指示が出された。1-2体制のメルセデスAMGはどんどん先行しており、チーム全体の利益を考えればこれは妥当な判断だった。

フェラーリ:VETを先行させてくれ。

ルクレール:今引き離しているところじゃないか!

 一旦は抵抗したものの、ルクレールも冷静にチームからの指示に従い、11周目のターン1でバックオフしてベッテルを先行させた。

ルクレール:行かせるよ。

フェラーリ:了解。

ルクレール:でも……OK。

フェラーリ:我々は自分たちの仕事をする。集中しろ。

 しかし前がクリアになったベッテルもそれほど大きくペースアップはできない。ルクレールの背後で走っている間にスライドしてオーバーヒートし、デグラデーションが進んでしまったからだ。ペースは1分39秒台中盤まで落ちた。

 今度はルクレールがベッテルに抑え込まれるようなかたちになり、再度のポジションスワップをルクレールが求めてきた。

ルクレール:すごくタイムロスしているよ。どうしてほしいんだ? どうしてほしいか教えてくれ。

フェラーリ:あぁ、了解。それを検討しているところだ。

 しかしルクレールは順位を入れ換えるところまでは接近できず、17周目にピットに飛び込んだマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のアンダーカットに対抗するために18周目にベッテルが先にピットインすることになった。タイヤのタレが大きい以上、ここで入らなければ逆転されてしまう可能性が高かったからだ。

 その背後にいたルクレールは、翌周ピットインしたとしてもみすみすフェルスタッペンにアンダーカットを許すことになるのは明らかだった。

フェラーリ:我々はできるだけ長く引っ張ってレース終盤を考えて走る。でもプッシュし続けろ。

ルクレール:了解。

 なるべくピットストップを遅らせ、1ストップ作戦で走り切ることで活路を見出そうと第1スティントを引っ張ったルクレールだったが、ベッテルより4周先の22周目までしか引っ張ることができなかった。

 これでタイヤ的なアドバンテージはほとんど生み出せないまま、第2スティント早々に2ストップ作戦に切り替えることになった。

本日のレースクイーン

神崎りなかんざきりな
2025年 / オートサロン
プロスタッフ
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    もっと見る
  • auto sport

    auto sport 2025年4月号 No.1606

    [検証]F1史上最大の番狂わせ
    ハミルトン×フェラーリ
    成功の確率

    詳細を見る