オープニングラップの3者並走の名勝負、バルセロナテスト時の勢いを失ったフェラーリ【今宮純のF1スペインGP分析】
3者並走の横一線、アウトにいたベッテルはブレーキングを遅らせ右前輪がロック。インにはハミルトンがいてサンドイッチ状態になったボッタス。選択肢は一つだ。チームプレイヤーとしてインには行けない(接触は許されない)。ミラーの視界外から急に現れたアウトのベッテルにからんだら終わりだ。ブレーキングするしかない。それぞれあのポジション関係では、ハミルトンにはボッタスの向こうにいるベッテルは見えていなかったはずだ。
「クラッチ系の振動が起きていた」と言うボッタスはドラッグレースに先行できず、ベッテルの動きにもしばられた。ハミルトンはある意味ベッテルがアウトでぎりぎり踏ん張ったプレーによって、ボッタスから最初のコーナーを奪えた。この三者だからこそ魅せたノータッチの『競演』、1コーナー攻防がこの日最初で最大の見どころだった。
トップのハミルトン、2番手ボッタス、3番手マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、4番手ベッテル、5番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)、6番手ピエール・ガスリー(レッドブル・ホンダ)。1周目と同じオーダーのまま66周レースは終わった。
いったいオフのフェラーリの速さはどこへ行ったのだろうかーー。開幕前のバルセロナテスト初日に圧倒的な速さを見せたSF90がニュースを独占。それに比べ、最終日にハミルトンがアップデートされたW10で驚異タイムをたたき出した事実は、あまり注目されなかった。ベッテル1分16秒221に0.003秒差の1分16秒224、夕方最後の時間帯にメルセデスはフェラーリに追いついたのだった。