その後レース終了まで、チームの無線からは間違ったコンパウンドで戦わなくてはいけないことに対する、ハミルトンの怒りに満ちた不満の声が響き続けた。だがウォルフは、ハミルトンには不満を発散させる必要があったとして、特にとがめるようなことはしなかったという。
「ドライバーには何らかの形でプレッシャーを解放する手立てが必要だという事実を、我々は受け止めるべきだと思う」とウォルフ。
「我々と話すことでそれができるならば、単に怒りを吐き出すだけだったとしてもまったく構わない。我々には彼を支える必要があるというだけのことだ」
ウォルフは、先日亡くなったニキ・ラウダの魂が、ハミルトンの勝利を支えた重要な要素だったとも付け加えた。
「今日はひとりの世界チャンピオンが見せた、もう我々のそばにはいないもうひとりの世界チャンピオンのための走りだった。その意味するところは大きい。これ以上ないほど劇的なレースだった」とウォルフは述べた。
「これから数日間は、つらいことだがウィーンで行なわれるニキの葬儀に出席する。それからカナダGPに向けて出発するよ」