更新日: 2019.08.30 10:47
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム番外編】1日の仕事スケジュールに、お給料事情。チーフレースエンジニアの気になるアレコレ
Q:ファクトリーではどのようなスケジュールで働いていますか?
小松エンジニア:グランプリが終わってイギリスに帰ってきた後、レースが2週連続開催ではない場合だと、月曜日にまずは前回のレースで何が壊れたのかなど不具合を話し合う会議があります。次のレースまでに何を直さないといけないのか、何を優先すべきかなど、信頼性関連のことを話します。
あとはクルマの性能解析に関わっている人たちで、前日までのレースを振り返ってもっと良い成績を出すには何が欠けていたのかを話し合います。時間が限られているので、データを解析する前に、何を解析しようかという問題意識の確認と共有が必要です。
スタッフには火曜日から木曜日の間にデータ解析をやってもらいます。僕はその週によって異なるのですが、レースに関係のないところでもいろいろなプロジェクトがあるので、火曜日はそういうものに関する会議をしたりしています。1日の7割以上が会議で埋まることもありますね。水曜日はシニアマネージメントの会議があったり、木曜日には開発会議や、解析結果をまとめた会議があります。
レースがない週には、スタッフにも金曜日に代休を取らせています。僕は大体代休をとっても家で仕事をしていますが、それでも子供を学校に送ったり、一緒にお昼を食べたり、迎えに行ったりできるので、一年の半分はレースやテストで家にいない僕には貴重な時間です。
Q:出社時間、退勤時間は何時くらいですか?
小松エンジニア:グランプリから帰ってきた後の月曜日は10時か10時半には出社しますが、それ以外は8時くらいです。夜は家で家族とご飯を食べたいので、18時半には会社を出るようにしていて、子供を寝かせてから少し家で仕事をします。
Q:会議が多いようですが、スケジュールや時間はどのように決めていますか?
小松エンジニア:定例で行われる会議もありますが、僕が日程を決めないと始まらないことも多いので、例えば1週間の間に行われる会議のうち7割くらいは僕がスケジュールを決める場合もあります。会議の間に面接をやったりもしますね。
会議は必ず時間を区切って行います。そうでないとその次の作業が進まないですし、その会議を元に仕事をしてもらわないといけないですからね。たとえばクルマのパフォーマンスを振り返るミーティングだったら、まずは何を問題としているのか、誰がどの作業をするのかというのを確認して終わります。その時は結論を出さなくてもいいんです。そして3日後のミーティングで、作業結果を報告してもらいます。
あまり時間もないし、集中力も切れるので、会議時間は最大でも1時間半にしたいと思っています。僕はとにかくダラダラとやるのが嫌いなので、集中して効率よく仕事をして、なるべく早く帰って家族と過ごしてオンとオフをつけるようにしています。とは言っても仕事は膨大にあるので、残っていることは夜に自宅でやっています。
どんなに忙しくても最近はお昼に時間を取って、ジムで体を動かしています。昔はお昼休みを取らないで仕事をしていたこともありましたが、それだと午後からの生産性が落ちる気がしました。だからどんなに忙しくても、12時半から13時半の間はミーティングの依頼を断るようにして、ファクトリー内のジムで気分転換しています。
Q:レースウィークの移動スケジュールを教えてください。
小松エンジニア:基本的に開催国に到着するのが水曜日。翌日の木曜日の朝9時にはサーキットに入り、11時にはクルマのエンジンをかけ始めます。帰りは、ヨーロッパラウンドであれば日曜日の夜18時か19時にはサーキットを出ますが、これが飛行機に間に合うギリギリの時間です。家に帰るのは、日付が変わって月曜日の1時とか2時くらいです。
オーストラリアGPや日本GPを含めたフライアウェイの場合は、火曜日に現地に着いて、水曜日の朝から仕事。帰りは月曜日に出国して、火曜日の夜にイギリスに戻ります。アブダビだと火曜日に出発して、火曜日の夜にイギリスへ戻ってきます。