史上108人目のF1勝者となったルクレール、親友のため必勝を期した覚悟の走り【今宮純のF1ベルギーGP分析】
内側フェルスタッペンと外側キミ・ライコネン(アルファロメオ)が並べるほどの隙間はない。接触。デブリが飛び散った。前後左右が“ニアミス状態”、広い出口エスケープ・ゾーンに各車が避ける。左フロントのタイロッドを破損したフェルスタッペンはオールージュでクラッシュ。昨年から21戦トップ5ゴールを続けていたのが途絶えた。ケメルストレートの大応援団は一度もフェルスタッペンを見みられなかった。
まるで1周目は“マジックラップ”のように順位が乱高下。ルクレール、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)、ルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタスのメルセデス勢らトップ4の変動ないが5番手以下のオーダーは一変した。
5番手ランド・ノリス(マクラーレン/11番手から6アップ)、6番手ロマン・グロージャン(ハース/9番手から3アップ)、9番手ガスリー(13番手から4アップ)、11番手ダニール・クビアト(トロロッソ・ホンダ/19番手から8アップ)、12番手アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ/18番手から6アップ)、13番手アレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ/17番手から4アップ)。
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シリーズ後半開幕戦にPUコンポーネンツ交換が相次ぎ、グリッドペナルティ(のべ8台)によって正式グリッドが大きく変わった。変わらないのは上位5人だけ、15人が上がったり下がったり。そして1周目のポジションも目まぐるしく一変した。
ルクレール+ベッテルの“1-2編隊”が組まれたが徐々に3番手ハミルトンが接近していく。この戦況にフェラーリは15周目、ベッテルをピットインさせミディアムタイヤに交換(フロントウイングのフラップを調整)。タイヤのドロップオフが進行しハンドリングも思わしくない。
トップのルクレールはフリー走行時点からカーバランスが決まっていた。メルセデスに対し劣勢の下り坂セクター2でも、ベッテルのようなアンダーステア傾向が見られなかった。それは中高速コーナー出口での縁石走法から感じとれた。アンダーステアではないからエイペックスにすっとつけられ、車速を高めたまま縁石への最適なラインをトレース。予選で3回目のPPを2番手ベッテルに0.748秒差(!)をつけて獲得、これは今季13戦ポールシッターの“最大差”だ。