「評価は僕がすることではなくて評価すべき人たち、チームでありホンダであり、レッドブルが評価をすることなので、僕が満足したとしても、周りが満足できなければレーサーとしてはダメ。いい評価をして頂ければそればすごく幸せなことですけど、いずれにしても大きなミスをすることなく、自分の仕事を落ち着いてこなすことができた」と、初走行を振り返る山本尚貴。
そのチーム、ホンダ側としては、走行直後のホンダ山本雅史F1マネージングディレクターは「F1の実走が初めてのなかでミディアムとソフト、それぞれのフィードバックが的確だったし、FP2に走る(ピエール)ガスリーにつながる内容だった。良かったと思います」と話し、FP1直後の会見に出席した田辺豊治テクニカルディレクターも「グッドジョブ」と評価。トロロッソのフランツ・トスト代表も走行直後のテレビのインタビューで好感触を得たことを話していることからも、今回の山本尚貴の走りはチーム内部でも高かったことが伺える。
走行直後の短い会見の最後に山本尚貴が語った最後の言葉もまた、山本らしいコメントだった。
「F1は今まで憧れの舞台でしたけど、ものすごく身近に感じることができましたし、もっともっとF1を知りたいなと思いました。より速いマシンをコントロールする技術が自分の中に芽生えたということは、スーパーフォーミュラ、スーパーGT、F1以外のカテゴリーのどのマシンに乗ったとしても非常に有効な経験になると思います。なにより、本当に初めて乗るマシンに対して、ここまで努力を重ねてきたことは、やっぱり裏切らなかったなと思います。改めて努力することの大切さを感じました」
「FP1の走行でしたけど、観客のみなさんが各スタンドで旗を振ってくれたり、手を振ったりしてくれたのが特に最終ラップのインラップの時に見えたので、本当に感動的な瞬間でした。まだまだこれから続くレース人生に向けて、もっともっと努力していきたいなと思いました」
走行後には多くの関係者から握手や抱擁を受けた山本尚貴。たくさんの汗を流しながら、F1初走行について会見でも笑顔が耐えなかった。単なる思い出作りではなく、今回の走行の経験は山本尚貴というドライバーにとって、そして日本のモータスポーツにとって今後、大きな意味と可能性を生むに違いない。


