投稿日: 2020.01.10 07:30
更新日: 2020.01.09 18:30
更新日: 2020.01.09 18:30
F1技術解説レビュー フェラーリ:稚拙な戦略ミスや信頼性で本来の実力を出せなかったSF90
翻訳・まとめ:Kunio Shibata
第13戦ベルギー、第14戦イタリアGPの連勝は、ある意味順当といえた。さらに最大のダウンフォースが要求される第15戦シンガポールGPでも、フェラーリは1−2フィニッシュをやってのけた。その秘密は、ノーズの控えめなアップデートにあった。鼻の内側に設けられた2本のバーがベンチュリー効果による気流の加速を生み、車体前部のダウンフォースを増大させたのだった。
フロントがようやくしっかり食いつくことでアンダー傾向は改善され、リヤのダウンフォースも回復することができた。フランスGPで結果の出なかったフロアも、シンガポールの改良版は満足すべき性能を発揮した。
この時点でのSF90はメルセデス、レッドブルを抜いて、最も戦闘力のあるマシンとなった。その後も第16戦ロシア、第17戦日本、第18戦メキシコGPで、ポールポジションを獲得する。しかしこの3戦はいずれも、メルセデスが勝利した。フェラーリは速さでは優っていても、信頼性と稚拙な戦略で敗れたのである。
完全復活を果たしたかに見えたSF90だったが、シーズン終盤3戦はそれまでの戦闘力を失ってしまう。そしてこの時期は、フェラーリ製パワーユニットへの疑惑が巻き起こったタイミングでもあった。