しかしこの日は特に午後になって風が強くなり、どのドライバーもマシンの不安定さに手を焼きながらの走行となった。フェルスタッペンも突風や風向きの変化で突然ダウンフォースが抜けてスピンしてしまったわけだ。
いずれにしてもこの日そこでスピンを喫したのはフェルスタッペンだけであり、メルセデスAMGはやや強引にターン13入口アウト側の縁石外側からターンインしてもリヤが破綻しない。昨年型『RB15』の弱点のひとつであった、風の影響を受けやすいという空力傾向がまだ残っているのかもしれない。
この日レッドブルとアルファタウリは同じような時間帯にともにC3タイヤでパフォーマンスランを行っている。ダニール・クビアトの1分17秒456に対し、フェルスタッペンは1分17秒347で僅か0.109秒差。もちろん燃料搭載量が違う可能性も充分にあるが、現時点でのRB16の仕上がりがフェルスタッペンの満足出来るレベルにないことも確かなのだろう。
徹底的なデータ収集に専念したテスト前半は、その進捗にチームは明るかった。しかしテスト後半に入りパフォーマンスの追求を始めたところで、初めて不満に直面した。フェルスタッペンが並みのドライバーとは違う次元の走りをするドライバーであるがゆえに、マシンにも高いレベルの性能が求められるということもあるだろう。
果たして、残り2日間でRB16はフェルスタッペンが求めるレベルにまで仕上がるのだろうか。
