フランスGPが“開幕戦”になると想定すると、それ以前に開催される予定だったグランプリを7月以降に組み込まなければならなくなる。9戦すべては困難だろうが、いくつかをカレンダーに復帰させることは可能だと思う。
まず、延期不可能なグランプリはどこなのかを見ていこう。オーストラリアは、サーキットの設置に非常に時間がかかる。おそらく今年中に開催するのは不可能であると思われる。ベトナムは今年初めてのグランプリであり、スケジュールを変更して行うのはリスクが高い。
カナダは天候の関係で夏に開催する必要があるので、予定変更は無理だろう。スペインは今年1年の契約であり、もし2021年の開催が確約されれば、中止を受け入れるのではないだろうか。
バクーはストリートサーキットであり、パーマネントコースほど柔軟な対応はできないため、急なスケジュール変更は難しい。そういった理由でこの5戦は中止されると予想する。
サマーブレイクが春に移動されたため、8月にグランプリを開催することが可能になった。ハンガリー(7月31日~8月2日)の後にモナコ、オランダを組み込むことができるかもしれない。それによってオランダ、ベルギー(8月28~30日)、イタリア(9月4~6日)が3週連続開催となってしまうかもしれないが、地理的に考えて、ロジスティクス面で大きな問題はなさそうだ。

シンガポールからブラジルまでのフライアウェイには日程変更はないだろう。しかし最終戦アブダビは12月半ばに移動され、ブラジルとの間に中国、バーレーンを組み込むのがよいのではなかろうか。
まとめると、私の予測では、2020年F1シーズンには17戦が開催され、開幕戦は6月28日のフランス、最終戦は12月13日のアブダビとなり、夏に3連戦が組み込まれる。もしかすると、モナコが開催できずに16戦になり、3連戦はなくなるかもしれない。
より過密なスケジュールが組まれるため、グランプリは2デー開催になるかもしれない。土曜にプラクティスと予選、日曜に決勝を行うという案について、F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターのロス・ブラウンは言及している。
史上最多22戦が開催されるはずだったシーズンが予定より短いものになるのは間違いない。今年は未曽有の出来事に見舞われた。他のスポーツ同様、2021年にはF1が通常どおりのシーズンを送れることを祈る。
■2020年F1カレンダー予想(3月18日時点)
Round | Date | Grand Prix |
---|---|---|
1 | 6月28日 | フランス |
2 | 7月5日 | オーストリア |
3 | 7月19日 | イギリス |
4 | 8月2日 | ハンガリー |
5 | 8月9日 | モナコ |
6 | 8月23日 | オランダ |
7 | 8月30日 | ベルギー |
8 | 9月6日 | イタリア |
9 | 9月20日 | シンガポール |
10 | 9月27日 | ロシア |
11 | 10月11日 | 日本 |
12 | 10月25日 | アメリカ |
13 | 11月1日 | メキシコ |
14 | 11月15日 | ブラジル |
15 | 11月22日 | 中国 |
16 | 12月6日 | バーレーン |
17 | 12月13日 | アブダビ |
■著者:クリス・メッドランド。イギリス出身のF1ジャーナリスト。ESPN、Crash.net、F1iなどを経て、現在RACERと契約。formula1.comでの仕事も行っている。