更新日: 2020.07.08 19:15
【F1オーストリアGP無線レビュー】メルセデスを追撃中のフェルスタッペンが突然の失速「ダメだ、アンチストールに入ったままだ」
レーシングポイント:エンジンに問題が出た。われわれはいまその修復を行なっている。君はここまでいいレースをしてきた。これからはわれわれがベストを尽くす。
ストロール:わかった。でも、まだパワーが戻らないよ……
懸命の修復作業も実らず、19周目にピットインしたストロールはそのままリタイアとなった。これを見て、メルセデスが動く。メルセデスはストロールのPUに、縁石に乗ったことで生じた振動によるセンサートラブルが発生したと判断し、縁石にできるだけ乗らないよう指示を出す。しかし、26周目にセーフティカーが導入され、それまであった6秒以上の差が一気になくなって31周目にレースが再開されると、優勝の望みが出てきたハミルトンは同じタイヤを履くチームメイトをコース上で抜くために、アグレッシブになる。
ハミルトン:エンジンを好きなように使わせてほしい。
メルセデス:ダメだ。トラブルが深刻になっている。われわれはこれから2台ともペースダウンさせる。
ハミルトン:いや、エンジン・ライフはまだ全然残っているはずじゃないか!!
メルセデス:違う、ギヤボックスのセンサーに問題が起きている。縁石に乗らないでほしい。
ハミルトン:どの縁石だ?
メルセデス:赤白の縁石も含めて、全部だ。
ハミルトン:彼(ボッタス)のほうが僕より使っているよ。
40周目を過ぎても、一向にペースを落とさないハミルトンに対して、メルセデスは最終手段をとる。それはそれぞれのレースエンジニアではなく、チーフレースストラテジストのジェームス・バレス自らによるドライバーへの直接介入だった。
バレス:ルイス、ジェームスだ、聞いてほしい。ギヤボックスが深刻な状況になっている。お願いだから、縁石に乗せないでほしい。これは2台とも同じだ。
ようやくペースダウンしたハミルトンは、今度は2番手の座を賭けてアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)との戦うことになる。51周目に入ったセーフティカーのタイミングでステイアウトしたメルセデスに対して、アルボンはソフトタイヤに交換していたからだ。
55周目にレースが再開されると、アルボンは前を走るセルジオ・ペレス(レーシングポイント)を3コーナーでオーバーテイク。その直後、再スタート直前に起きたキミ・ライコネン(アルファロメオ)の事故によって、再びセーフティカーが導入される。オーバーテイクのタイミングを巡ってレッドブルとレーシングポイントはセーフティカーラン中にそれぞれのドライバーを交信をかわす。