更新日: 2020.07.10 12:46
マシン本来の性能が発揮される第2戦でチームの勢力図がより明確に/F1シュタイアーマルクGPプレビュー
インターバルは僅か4日間しかなく、しかも現場は月曜が完全カーフュー(作業禁止)であり、エンジンのファイヤーアップも木曜日までは禁じられている。HRD Sakura(栃木県の本田技術研究所)とHRD UK(ヨーロッパにおけるホンダの前線基地)も総動員でトラブルの究明にあたっているはずだが、エラー信号を発した電気系統そのものの設計やプログラミングに問題があるのか、それとも縁石からの振動といったような外的要因によって引き起こされたものなのか。
これまでに起きたことのないトラブルというだけに、シェイクダウンだけを行なって実戦投入したスペック1.1の新規開発部分に関係することかもしれないが、その原因を確実に究明し対策することが求められる。開幕から10週間で8戦を戦う超過密スケジュールのシーズン前半戦だけに、原因究明が遅れればそれだけ失うものも大きくなる。
タイトル挑戦を目標と掲げるレッドブル・ホンダだけに、これ以上の取りこぼしは許されない。

開幕戦ではトップ争いはメルセデスAMGとレッドブルの2強に絞られたかたちだったが、その後方の中団グループトップ争いは熾烈を極めた。
昨年の中団王者マクラーレンに対し、マシンの設計思想をメルセデスAMG型に大きく変えたレーシングポイントが肉薄。予選ではマクラーレンがトップを守ったが、決勝ではセルジオ・ペレス(レーシングポイント)が中団のトップを走り続けた。51周目のセーフティカーでステイアウトする戦略ミスがなければ、2位もしくは3位に入っていたのはペレスだったかもしれない。
さらには0.4秒に10台がひしめく大混戦だけに、開幕線では予選・決勝ともに実力を発揮し切れなかったというルノーも浮上してくるだろう。
そして何より、この中団グループに飲み込まれるという予想外の低迷に慌てたフェラーリが、第3戦に予定していた車体の大型アップグレードを前倒し投入する。これが空力効率をどれだけ向上させ、大きく劣っているストレートスピードをどれだけ取り戻すことができるか。大混戦の中団グループを抜け出すことができれば、フェラーリのレース戦略もまた開幕戦とは違ったものになってくるはずだ。
ただし、今週末は3日間を通して雨の予報が出されている。
前述の通り、ドライコンディションなら開幕戦のデータを元に各チームが“正解”を持ち寄って、1週間前よりも格段にレベルの高いレースを見せてくれることだろう。しかし山に囲まれたレッドブルリンクで雨となれば、再び大荒れのレースとなる可能性もある。
1週間前とはまた大きく違った意味での大波乱となるのか、ドライでハイレベルな勝負が繰り広げられるのか。いずれにしても第2戦シュタイアーマルクGPが楽しみだ。