フェラーリの2台がいなくなったレースは、メルセデス勢2台(1番手、3番手)とレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(2番手)による一騎打ちとなっていた。7周目にメルセデスはトップを走るルイス・ハミルトン(メルセデス)にこう伝える。
メルセデス:前の周のラップタイムは、フェルスタッペンと同じだ。それを聞いたハミルトンはしっかりとリアクション。7周目からペースアップを開始し、コンマ5秒ずつフェルスタッペンを引き離していく。その走りに対して、メルセデスはこう無線を送る。
メルセデス:フェルスタッペンに対してタイムをロスしているのは、ターン3のミニマムスピードだけだ。あとはターン9でのタイヤマネージメントをもう少し行ってくれ。
ピットストップウインドウに入った20周目、2番手のフェルスタッペンとトップのハミルトンの差は4.7秒に広がり、逆に3番手のボッタスとの差は3秒に縮まった。そして、こう伝える。
レッドブル・ホンダ:メルセデスはふたりにプッシュしろと言っている。
フェルスタッペン:で、僕に何をしろと?
レッドブル・ホンダ:任せた。でも、君がプッシュするのはわかっているけどね。
レッドブル・ホンダは3番手のボッタスのアンダーカットを阻止するために、24周目にフェルスタッペンをピットインさせる。ピットアウト後、フェルスタッペンがピットに確認する。
フェルスタッペン:ピットストップは早すぎたんじゃない?
レッドブル・ホンダ:ボッタスのアンダーカットを警戒した。
フェルスタッペン:でも、それじゃ、レース後半にタイヤが厳しくなる。でも、まあ、いいや。
そして、フェルスタッペンの心配は的中。フェルスタッペンは縁石に乗り上げた際にフロントウイングの翼端板にダメージを負っていたこともあって、ダウンフォースを失い、タイヤが想定よりも厳しい状態となってしまった。54周目、メルセデスはボッタスに指示を送る。
メルセデス:このペースで行けば、ファイナルラップに彼(フェルスタッペン)に追いつける。いいぞ、バルテリ!! もうこれからはしゃべりかけないから、プッシュしろ。
一方、レッドブル・ホンダはフェルスタッペンにマシンにダメージがあることを知らせる。
レッドブル・ホンダ:あと2、3周でボッタスが追いつく。フロントウイングの右の翼端板にダメージがあるから気をつけるように。
フェルスタッペン:ターン3の立ち上がりのドライバビリティが最悪だ。リヤタイヤがもう残っていない。
65周目にフェルスタッペンに追いついたボッタス。66周目のバトルではなんとか耐えたフェルスタッペンだが、67周目にボッタスがオーバーテイクを成功させ、ふたりのバトルは決着した。
その直後、その後方では4番手のアレクサンダー・アルボンと5番手のセルジオ・ペレス(レーシングポイント)による激しいバトルが繰り広げられ、2台は接触。アルボンがポジションを守り切ったのに対して、ペレスはフロントウイングに大きなダメージを負った。