更新日: 2020.07.16 16:30
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第4回】前例のないハーネス交換でピットレーンスタートに。課題は予選一発の速さ
第1戦ではブレーキの冷却に関するトラブルに見舞われましたが、同じサーキットでの連戦ということで、非常に厳しい状況でしたが、良い対策がとれたと思います。
金曜日の走行開始までに4つの違うレベルでの対策を立てることができたので、走り始めてからブレーキ温度を見て、それなりの処置をとることができました。実際にレースでは想定どおりの冷却性能があり、レースのほとんどをブレーキの心配をせずに走り切ることができました。
また第1戦のレースでは路面温度が50度を超え、様々な面で苦労したので、第2戦の金曜日に同じような路面温度で走ることができて良かったです。これにより、第1戦後に問題の原因として立てていた仮説や、それに則った対策を確認することもできました。
この結果から、やや路面温度が低下すると想定されていた日曜のレースに向けて適切な変更を行えました。ですから日曜のレースはシステム系・信頼性関連の心配をすることはなく、性能面に集中して戦うことができました。
開幕からいきなりの連戦になり、ウチのような小さなチームがどれくらい迅速に対策がとれるかと懸念していたのですが、よくできたと思っています。上述の通り、ブレーキの問題は解決することができました。もっとも、元からこのレベルでの問題が起きるということがよくないのですが、解決策を短時間で見つけられたということはよかった点です。クルマのセットアップやタイヤの使い方にしても、路面温度の件も含めて第1戦で学んだことを第2戦に活かせたと思っています。
しかし第2戦を終えて、VF20の性能を出し切れているかと言うとそうではありません。冷却を改善したことやクルマのセットアップにより、レースペースは大幅に良くなりましたが、予選一発の速さはまだまだ足りません。
もちろんパワーユニット(PU)の問題もあります。しかし車体側でもできることはまだあるので、これを一歩でも二歩でも進めて、特に追い抜きが難しく予選が勝負になるハンガリーGPで少しでも前のポジションで予選を終えたいです。