更新日: 2020.07.27 19:05
世界最高峰の戦いに終わりなし。厳しい状況下では「一体感が生まれ、人も育つ」/ホンダF1山本MDインタビュー(2)
──無観客レースの雰囲気は?
山本MD:驚くぐらい、人がいない(笑)。たとえば、(チケットが売られていないので、スタンドにいないのはわかりますが)ゲートの前とか、もう少しファンが駆けつけたりするのかなと思っていましたが、まったくいないです。
私たちが泊まっているホテルもほとんど観光客を見かけません。朝食会場もレッドブルの貸し切り状態。ほかのお客さんは別の個室に分けられていました。
──PCR検査は?
山本MD:最初は2日に1回と言われていましたが、さすがにそれは無駄なので、5日に1回となりました。ただ、オーストリアからハンガリーに移動するときは、直前に1回やって入りました。鼻の奥と喉の奥の2カ所の粘膜を取るんですが、鼻のほうは本当に痛くて、鼻血を出す人もいます。
──陽性が出ましたが、動揺は?
山本MD:動揺はないです。ただ、サーキットのセキュリティの数がオーストリアに比べるとハンガリーは多かったですね。
──いまスペインでは再び感染者が増加していますが、それでもF1は予定通りレースを行っていくんでしょうか。
山本MD:コメントするのは難しいですが、われわれとしてはFIAとFOMの判断を尊重し、レースを成功させるために、全力で戦いますとしか言えません。ただ、私たちレース関係者の衛生管理は徹底されていて、今後サーキットで陽性者が頻繁に出るようなことはないと思っています。
むしろサーキットの外の人たちはほとんどマスクしていません。オーストリアは公共機関ではマスク着用が義務付けられていましたが、ブダペストでは5%ぐらいしかマスクしていませんでした。
──ファンからのメッセージは何かありましたか。
山本MD:今日も2位でおめでとうというメッセージが届きました。日本も新型コロナウイルス感染の拡大がいまだに収束せず、大変な時期なので、レースで私たちに元気を与えてほしいというものもありました。本当に感謝です。
われわれとしては、開幕3連戦を終えて、レッドブル・ホンダとアルファタウリ・ホンダが全体の中でどの位置にいるのかということが見えてきたということは、今後を戦ううえでポジティブなことだと思っています。だれひとり、あきらめていません。
──新型コロナによる影響で、いつもと違うシーズンとなったわけですが、何が一番辛いですか。
山本MD:連戦が多いので、エンジニアやメカニックは本当に大変だと思います。また世界最高峰のF1では戦いに終わりがないということも痛感しました。ただ、このような厳しい状況のおかげでチームにはいつも以上に一体感が生まれているし、人も育ちます。そういう点では(今回の変化も)ポジティブにとらえています。