更新日: 2020.08.06 22:17
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第6回】ミディアムでの走行はほぼ完璧。入賞届かずも、レースペースの良さが光る
決勝レースではタイヤのマネージメントに苦労するドライバーが多かったですね。もちろんウチも大変でしたが、想定内でした。これが12周目のセーフティーカーでピットインしなかった理由のひとつです。ミディアムタイヤでは、ほぼ完璧に走れたと思います。
ミディアムを履いたロマンのペースが良かった具体的な理由は、前にノリスしかいない状態でDRS圏内を走りながら、自分のペースでタイヤをマネージメントすることができたことだと思います。またクルマのセットアップもレース用に合わせていたので、タイヤのマネージメントにはある程度自信がありました。うまくいってよかったです。
ただピットインは1周早い、35周目にするべきでした。今年のクルマは速さに欠けますが、タイヤマネージメントやセットアップなどの能力はチームとして確実に良くなってきていると思います。
シルバーストーンはブダペスト以上に厳しい週末になるだろうと予想していましたが、先に書いたように、その予想通りでした。これは、予選結果を見て頂ければ一目瞭然です。ロマンはミスをしたので考慮しないとしても、ケビンの予選位置(16番手)は、残念ながら今のVF-20のシルバーストンにおける一発の速さのほぼ限界を表しています。
ただ、どうあがいても予選でこれよりも大幅に順位を上げることは無理だと金曜日の段階でわかっていたので、完全に焦点を予選からレースへと切り替えることができたのはある意味良かったと思います。とはいっても、このレースは確実に1ストップレースになるという予想だったので、“何か”がなければポジションを上げることが難しいというのも明白でした。
その“何か”が12周目のセーフティカー導入という形で起こってくれたので、このチャンスを最大限に利用しました。結果には繋がりませんでしたが、レースチームとしてちゃんと動けたと思います。
しかし、VF-20には通常のレースでポイントを獲るだけの速さはありません。はっきり言って、予選では中団争いにも入れていません。これが厳しい現実ですが、とにかく今は先を見て、今あるVF20の性能を最大限に引き出しながら、チャンスをモノにするだけです。