フェルスタッペンがいかにハードタイヤ寄りのセッティングにしていたかは、予選Q3でソフトに履き替えたとき、「Q3では風向きが変わったことも関係していたのかもしれないけれど、少しバランスが悪くなった」と語っていたことにも表れている。
フェルスタッペンがハード寄りに合わせてセットアップしていたのに対して、ソフト寄りにしていたと思われるのが、レーシングポイントの2台とダニエル・リカルド(ルノー)、ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)の4人だ。
ニコ・ヒュルケンベルグ(レーシングポイント)はQ3でフェルスタッペンより速い予選3番手を獲得。リカルド(予選5番手)、ランス・ストロール(レーシングポイント/予選6番手)、ガスリー(予選7番手)の3人はフェルスタッペンに肉薄するタイムをソフトタイヤで叩き出していた。
だが、レースではヒュルケンベルグ、ストロール、ガスリーがハードタイヤのペースに苦しみ、リカルドはハードではなく、ミディアムをレースでメインタイヤにしたものの、ポイント圏外でレースを終えた。


マシンのセットアップ作業は、グランプリが始まる前のファクトリーでのシミュレーションからスタートする。そして金曜日のフリー走行で確認し、ライバルの状況や週末の天候などを考慮して、金曜日の夜に修正を入れて最終的に決定する。その修正は小さければ小さいほど、セットアップはより的確なものとなり、ドライバーは自信を持ってマシンを走らせることができる。
フェルスタッペンとレッドブル・ホンダはこのセットアップにおいて、70周年記念GPが始まる前からハードタイヤに合わせる方向で戦うことを決断し、週末を通してブレずに作業を進め、早い段階でセットアップ作業は完了していた。
そのことは金曜日のフリー走行2回目で、ライバル勢が20周以上走行していたなか、15周で終えていたにもかかわらずフェルスタッペンが「今日はやりたかったことを全部できたから、満足している。セットアップでいくつかのことを試してみて、方向性は固まった」と言っていたことでもわかる。
今回のフェルスタッペンとレッドブル・ホンダの優勝は、70周年記念GPが始まる前から、すでに約束されていたのかもしれない。
