更新日: 2020.08.13 23:00
【F1チームの戦い方:小松礼雄コラム第7回】内圧変更による多数の影響も、扱いに問題なし。今後に繋がるデータ収集も
大きな改善がないとはいえ、今回はケビンが低調でした。その理由はまだ明確にはできていませんが、理由はひとつではないと思っています。ところどころではきちんと走って良いタイムを出せているのですが、クルマに対して自信が持てず、常に安定して良いタイムで走ることができませんでした。これには、いくつか理由があるはずです。
決勝レースでは5秒のタイムペナルティを受けましたが、調子が悪くて「最後尾には落ちたくない」という気持ちが大きかったのでしょう。アウトに膨らんだ後、コースに戻ってくるときにアグレッシブすぎました。ペナルティは妥当だと思います。
第6戦スペインGPでは仕切り直して、フリー走行1回目の一発目から自信を持って走ってもらうことが肝心です。今はそれに向けてドライバーとチームが一丸となって作業しているところです。
それから第4戦ではロマンに黒白旗が掲示されました。久しぶりに良いポジションを走っていて、「絶対に簡単には抜かせない」とちょっと気負いすぎていたところがありましたね。動くタイミングが遅くて危険だったと思います。
最近、特にロマンはレースで良い走りをしながらも、毎回もったいないミスが多くてチャンスをモノにできていません。第3戦ハンガリーGPでのアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)との接触は避けられたと思います。第4戦はピットストップでギヤを1速に入れる際のミス、そして今回はスタートで大失敗をしています。この3つのレースすべてで10位以内に入賞できる可能性がありました。いずれも良い走りをしながらもひとつのミスでチャンスを逃しています。
第5戦を振り返ると、ロマンは13番手からレースをスタート。14番手からスタートしたエステバン・オコン(ルノー)は見事に1ストップで8位入賞しています。彼はレースのほぼすべてを前に誰もいない状態(フリーエアー)で走ったのでタイヤも良い状態で使えていたと思います。
一方ロマンはスタートのミスや1周目のコースオフで出遅れた結果、ウイリアムズやアルファロメオに引っかかってしまい、タイムロスをしただけではなくタイヤもダメにしてしまい(前のクルマのすぐ後ろを走っているとダウンフォースが抜けてしまうため)、2ストップにせざるを得ませんでした。ロマンが普通のスタートさえしてくれたらオコンと同じようなレースができた可能性があるので、ホントに残念です。次のスペインGPでは是非レースを通してミスなく走り切りたいと思います。