──バルテリ・ボッタス(メルセデス)などは、それを規制するとレース中のパワーモードも使えなくなって、オーバーテイクが減ると危惧しています。
田辺TD:どういう規制をするかで、そのあたりは全部変わってくるでしょうね。エンジンの寿命にもかかわってくるかもしれないですし。ざっくり言えば、予選モードの禁止はエンジン側には楽になる方向だと言えるでしょうね。
──ベルギーGPまで2週間ありませんが、設定を変えたりなどの対応自体はそれほど難しい作業ではないのでしょうか?
田辺TD:内容次第ですね。検討事項が多岐にわたったりするのか、あるいは、もっとずっとシンプルな規制なのか。
──田辺さんの印象としては、今回の規制は技術的にスパッとクリアにできるものなのでしょうか。あるいはグレーゾーンが大きいものになってしまいそうですか?
田辺TD:現時点では、具体的に答えるのは難しいですね。規制の内容と、監視の仕方次第というか。
──監視が必要な規制だと。
田辺TD:監視しないと、いうこと聞かないでしょうから。密になるな、夜飲みに行くなと言っても、規制がないと守らないのと同じです。
──今回の禁止通達は突然行われたという印象を拭えないのですが、田辺さんはどう思っていますか。
田辺TD:話が出てきたのは、非常に唐突だと感じています。パワーユニットとしての対応は規制の内容次第だとさっき言いましたが、やれと言われたらやるしかない。いずれにしても、唐突でした。
将来のPUはどうあるべきか、これまでずっと作業部会で話し合ってきたわけです。新型コロナウイルスの蔓延でこういう状況になってからも、2021年、2022年のPUはどうするか、継続して話してきた。しかしそのなかでは、予選モードの廃止とか規制とかの話は、いっさい出ませんでした。開発コストの削減とか、開発凍結、使用基数などは議論されましたが。まったく出ていない議題でした。
それがシーズンがようやく開幕した4戦、5戦目に、いきなり出てくる。唐突だなあと思いました。今後それに関する作業部会が招集されるという話も来ていません。ただ実施するかどうかは、チーム代表を交えての話だとは思います。



