更新日: 2020.08.19 22:37
【F1第6戦無線レビュー(2)】「失うものはないから、やってみよう」土壇場の1ストップ作戦をやり遂げたベッテル
ここでも、フェラーリは成功させる答えがないまま、戦略を1ストップにしようとしていたことがうかがえる。ただし、今度はすぐに返事が来た。
フェラーリ:1分23秒4から1分23秒5のペースで走り続けてほしい
そして、ベッテルはこう答えた。
ベッテル:それならやれる。僕たちは失うものはないから、やってみよう
フェラーリ:そうだ。君はいまP5。だから、尋ねてみたんだ
その直後の51周目、ベッテルは1分23秒467と、チームの指示どおりのラップタイムで周回するとその後も、以下のように精密機械のような正確さでペースをコントロールしていく。
51周目 1分23秒467
52周目 1分23秒356
53周目 1分25秒144(ハミルトンの周回遅れ)
54周目 1分23秒434
55周目 1分23秒760
56周目 1分24秒557(ストロールに抜かれ6番手)
57周目 1分23秒560
58周目 1分23秒695
59周目 1分25秒977(フェルスタッペンの周回遅れ、サインツに抜かれ7番手)
60周目 1分24秒140
61周目 1分24秒033
62周目 1分24秒787(ボッタスの周回遅れ)
63周目 1分24秒111
64周目 1分24秒407
65周目 1分24秒668
そして、チェッカーフラッグ。
フェラーリ:P7、P7、よくやった
ベッテル:タイヤはもう完全に終わったよ。僕はこのタイヤで何周走った?
フェラーリ:37周も走った
ベッテル:ありがとう
このレースでドライバー・オブ・ザ・デーにも選出されたベッテル。今シーズン限りでフェラーリのシートを失い、まだ来年のシートが発表されないようなドライバーとは思えない、ドライバーとしても人間としてもレベルの高い走りを披露した。
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