ドライバーとチームでレース中に異なる意見をぶつけ合うのは、必ずしもうまくいっていない2番手以下のドライバーだけとは限らない。ポールポジションからスタートし、ラップリーダーの座を1度も譲らないままレース後半に入っていたルイス・ハミルトンとメルセデスのピーター・ボニントンの間でも、最後に履くタイヤに関して、意見が割れた。チームはソフトを推薦したが、ハミルトンが納得いかず、たまらず無線ボタンを押した。
ハミルトン:ソフトは履きたくない。どうしてソフトにしたいの? このタイヤ(ミディアム)は問題ないよ。だから、絶対ソフトにしないでね
メルセデス:OK、ステイアウト、ステイアウト
ハミルトン:OK、もう1周する
この1周の間に、メルセデスはミディアムでも問題なしと判断。翌50周目にハミルトンをピットインさせ、ミディアムを装着してコースに送り出した。ハミルトンはその後も安定した走りを続け、トップでチェッカーフラッグを受け、今シーズン4勝目を挙げた。
メルセデス:素晴らしい仕事だった。だれにもマネすることができないタイヤマネージメントだったよ
ハミルトン:ちょっとゾーンに入っていたみたいで、さっきがファイナルラップだと気がつかなかったよ

ハミルトンがタイヤ選択に満足していたのに対して、満足できなかったドライバーもいる。12番手からスタートして、12位に終わったダニール・クビアト(アルファタウリ)もそのひとり。レース後、こう叫んだ。
クビアト:なんて散々なレースだ。本当に納得がいかない。オプションは問題なかったんだ。スタートのとき、みんなは僕の話を聞くべきだった。どっちのタイヤでスタートすべきかってね
クビアトのスタート時のタイヤは新品のソフトタイヤ。オプションがソフトだったとすると、クビアトはミディアムでスタートしたかったのか。「オプションは問題なかった」というのは、ベッテルと同様、ミディアム→ソフトでの1ストップでも問題ないということだったのかもしれない。
