最後はスペインGPで最もタイヤに苦しんだドライバーの無線を紹介しよう。それは6番手からスタートしながら、8位に終わったアレクサンダー・アルボン(レッドブル・ホンダ)だ。チェッカーフラッグ後にアルボンのマシンから届けられた無線は入賞したドライバーとは思えないほど、ひどく落ち込んでいた。
アルボン:本当にどうやってタイヤをマネージメントすればいいのかまったくわからなかった。僕は何もできなかった。コーナーの入口でも、出口でも、常にスナップ(突然リヤが流れること)
レッドブル・ホンダ:OK、わかった、アレックス。
アルボン:僕たちはこの状況を見ないといけない。だって……ウ、ウッ、何もできなかった。本当にわからないんだ……どうすれば、どうすれば、速く走らせられるのか
レッドブル・ホンダ:わかった
途中、声をつまらせていたとき、アルボンはヘルメットの中で泣いていたのかもしれない。すると、チーム代表のクリスチャン・ホーナー代表が無線に入ってきた。
ホーナー:心配するな、アレックス。これから一緒に詳細を調べよう。たぶん、今日の君は前を走るマシンの乱流の中でレースを強いられ、タイヤがオーバーヒートしたんだろう。それでいつものような走りができなかったんだと思う

その後、新しくレースエンジニアとなったサイモン・レニーが、終盤アルボンの前を走っていたベッテルの状況を説明する。
レニー:ベッテルはソフトで37周を走った
しかし、そのメッセージは、アルボンにとって傷口に塩を塗られるような厳しい情報となった。
アルボン:信じられない。僕のタイヤはどれも7周で終わったというのに……
アルボンがレッドブル・ホンダに加入してきたのは、昨年のベルギーGP。果たして、アルボンは今年、2週間後のベルギーGPに、スペインGP前のような状態で戻ってくることができるのだろうか。
