しかし、FIAがレースに活気を与えようとするあまり安全性を損ねているとするメルセデスのドライバーたちの主張は、マシにとって受け入れがたいもののようだ。
「まったく違う。FIAの観点からは、安全性こそが最優先事項だ。それしかないし、付け加えることはない」とマシは語った。
「FIAのレースディレクターとセーフティデリゲートとして、スポーツの誠実さと安全性を担保するという私の役割ははっきりしている。それを疑う者がいるとするならば、私個人としては非常に不愉快だ」
「彼らはどんな批判をしても構わないが、ライトが消灯された箇所からコントロールラインまでの距離という観点で見た場合、他の多くのコースより長いということはなくても、大幅に異なるわけではなかった」とマシは付け加えた。
「セーフティカーのライトは適切な箇所で消灯される。そしてセーフティカーはピットレーンへ入る」
「F1には世界最高のドライバーたちが20名いる。そして、この少し前に行われたF3でも、このジュニアカテゴリーに属しているドライバーたちがF1で起きたのとよく似たリスタートを行ったが、何のインシデントも発生しなかったし、非常にうまく走行していた」

「セーフティカーのリスタートに関するルールを見直す必要はないと思っている」とマシは続けた。
「結局大事な点は、ドライバー全員が金曜日夜のミーティングで明確な忠告を受けているということだ。彼らが覚えておくべき重要事項はふたつあった。ひとつは、ピット入口のセーフティカーラインよりも手前でセーフティカーを追い越してはいけないということ。ふたつ目は、このコース特有といえるが、オーバーテイクができるコントロールラインはピットレーン出口の近くに設けられているということだ」
「とりたてて珍しいことではない。コントロールラインに向けて長い距離を走るバクーのような、似たケースはある。そこで先頭を走るドライバーは当然全体のペースを支配する権限を持っているので、後続のマシンによるスリップストリームの利用を避けるためにスピードをかなり落としていた」