逆にこのとき問題になったのは、すでにレースを終えていたはずのドライバーが赤旗中断によって修理してレースを再開させたことだった。ただし、レギュレーションではその作業は定められた場所(コースうえまたはピットレーン)となっていたため、ガレージで修復作業したのちにレースを再開させたキミ・ライコネン(フェラーリ)とセルジオ・ペレス(フォース・インディア)にはペナルティが与えられた。
さて、第8戦イタリアGPでは赤旗中断中にランス・ストロール(レーシングポイント)がタイヤ交換義務を赤旗中断中に消化したことに対して、ランド・ノリス(マクラーレン)が不満を語っていた。その気持ちは分かる。
もし、赤旗中断中のタイヤ交換義務の消化が認めなければ、ストロールはレース再開後にもう一度ピットストップしなければならなず、ノリスが代わって表彰台に上がっていたかもしれないからだ。
ただし、レースというのは多かれ少なかれ、起きたアクシデントによって、有利になることもあれば、不利を被ることもある。しかも、この第8戦ように、ドライコンディションでひとりだけがタイヤ交換をしていない状況で赤旗が出るというケースは、非常に稀で、そういう場合を想定してまでレギュレーションを変更する必要性はないように思える。
レギュレーションというのは、公平性が重要であることが重要だ。もし、ノリスの主張を認め、赤旗中にタイヤ交換義務を認めないとなれば、ほかのドライバーたちもタイヤ交換は禁止にしなければならない。
そうなれば、傷ついたタイヤを履いてレースを再開するドライバーも出てきて、さらなるアクシデントが発生する可能性もある。そう考えれば、この赤旗中断中にタイヤ交換を許可し、それによって2種類の交換義務のなかに入ることを認めることも、致し方ないところだろう。
そもそも、レースを終えてから、レギュレーションに文句を言っても仕方がない。レギュレーションに不満があれば、それに異議を唱える権利は参加者にはある。そして、その主張にFIAと全チームが同意すれば、変更することはできる。ノリスとマクラーレンが今後、どのような主張を行うのか注目したい。