Masahiro Owari

 ホンダのF1活動終了は、ホンダの若手ドライバーの発掘・育成を目的とした人材育成プログラム「Honda フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト(HFDP)」に、大きな影響を与えることとなる。

 過去にホンダやトヨタの育成プログラムによって、多くの日本人ドライバーがF1を目指したが、そのほとんどがホンダやトヨタのF1撤退によって、梯子を外される形となって、F1への挑戦を断念しなければならなくなったという過去がある。

 現在、ホンダの育成プログラムの一員で、最もF1に近い存在となっているのが、角田裕毅だ。すでにアルファタウリのフランツ・トスト代表は「最終戦アブダビGPが終了した直後に行われるルーキー・テストで角田を起用する予定だ」と語っている。ただし、2021年にレギュラードライバーとしての起用については「それは私ではなく、レッドブルが決めることで、その前にスーパーライセンスを獲得することが条件となる」と語っていた。

 2018年のFIA-F4チャンピオンである角田は、12点のスーパーライセンスポイントをすでに獲得。今年のFIA-F3では9位となって2点を加点とし、現在14点を保有している。もし2020年にFIA-F2で4位(30点)以上の成績を収めることができれば、スーパーライセンスの取得条件となる40点を満たすことになる。

 ロシアGPを終えた段階で、角田のF2ランキングは3位で、スーパーライセンス獲得の範囲内とになっている。そして、もしスーパーライセンスを獲得できれば、アルファタウリからF1にデビューする可能性は高い。なぜなら、ホンダは2021年もF1活動を継続するからだ。

 もし、今年のF2でランキング4位以上に入ることができなかったとしても、まだチャンスはある。それは角田がホンダの育成プログラムの一員であると同時に、レッドブルが運営するレーシングドライバー育成システムであるレッドブル・ジュニアチームの一員でもあるからだ。

 したがって、たとえホンダがF1から去っても、角田にヨーロッパでレースを戦いたいという強い意志があり、かつ、レッドブルが将来、角田をF1で戦わせてみたいと思わせる走りを、残りのレースでも角田が披露することができれば、角田の将来は必ずしもホンダの決定に左右されないこととなる。

 そして、もしそのような形で角田がF1を戦い続けることができれば、それは日本の自動車メーカーや日本企業からの援助とは関係なく、実力でF1のシートを初めて手にする日本人ドライバーが誕生することとなる。

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