レーシングポイントはFIAが定めるプロトコルに従って5日おきの検査を行い、ストロールは欠場したアイフェルGPの日曜日に自宅があるスイスで検査し、陽性が判明。もし、ストロールが欠場することを決定したアイフェルGPの土曜日の時点で検査していれば、そこで陽性となっていたかもしれない。そうなれば、木曜日と金曜日にストロールと一緒に仕事していたレーシングポイントのスタッフも検査しなければならず、そこで陽性者が出れば、チーム自体がレースに参加できなかった可能性があった。
にもかかわらず、レーシングポイントは検査しなかっただけでなく、ニコ・ヒュルケンベルグを代役に起用し、何がなんでも出場することを目指した。ブラウンはその姿勢を暗に批判したのだ。
そのため、記者からはこんな質問がサフナウアー代表に飛んだ。
「イエスかノーで答えてください。ロシアGPの後、レーシングポイントのエンジニアで陽性者はいましたか」

この質問にサフナウアー代表は「ノー」と即答し、こう続けた。
「これまで我々は延べ2万回もの検査を行った。ファクトリーだけでも延べ1万5000回は行っている。その中で陽性だったのはふたりのドライバーだけだ」
「我々は他のどのビジネスよりも、地球上の他のどのF1チームよりも多くの検査を行っている。我々は毎週火曜日と毎週金曜日にすべての従業員を検査し、グランプリからイギリスに帰国したときはレースチームのすべてのスタッフを検査している。毎週月曜日に飛行機が着陸すると、ユーロフィン(ルクセンブルクに本社を構える検査会社)の検査を行っている」
「だから、安心して家族の元へ帰ることができる。もちろんロシアGPの後も検査を行い、エンジニアのだれひとり陽性にはなっていない」
新型コロナウイルスに関しては、様々な意見がある。マスクをつけるべきかどうか。ソーシャルディスタンスはどうするべきか。あるいは検査はどう程度行うべきか。しかし、F1界はレース活動を継続するために、厳しいプロトコルを作成し、全員がそれに従うことを決意した。2020年のF1はポルトガルGPも含めてまだ6戦ある。まだ気を緩めるのは早い。