TEXT:Ayao Komatsu

 そんな状態で走っても、クルマはバランスがとれませんし、タイヤもちゃんと使うことができません。ということはせっかく、FP2でロングランを行っても、タイヤのタレ方が違ってくるので、ほとんど意味がないということになってしまいます。もちろん、ドライバーもクルマを学ぶことができません。仮に全てがしっかりと機能している状況でも、クルマの悪いところをちゃんと把握してセットアップするというのはなかなか難しい作業です。

 このようにパーツが安定して機能しない、または走行中に壊れてしまうような部品があった場合は、クルマをセットアップしていくうえで大きな妨げになります。特にウチのような新しいチームは基本データがまだ少ないので、不確定要素が増えた場合、それがレースウイークエンドに及ぼす影響はとても大きいんです。

 また、今年はあまり多くの数のパーツを作っていないので、シーズン終盤になってモノが古くなってきていることも問題です。たとえガレージで取り付けの確認を行った際にはOKな部品でも、クルマが走り出して負荷がかかった時の部品のたわみ具合などは、ある程度の距離を走ればやはり変わってきます。こういう基本的はデータも現時点では圧倒的に不足しています。そうすると、走り出して「クルマがおかしい」となった場合に、疑うべきエリアがとても多くなってしまうんです。

 マレーシアの時のコラムで書いたように、いつかはそういう問題が出るだろうと予測していましたが、実際に今、それが出てきて大変な状況です。それプラス、ウチのクルマはフロントタイヤが温まらないときは辛いので、アメリカとメキシコではいろんな問題が重なってしまった訳です。

 そういったいくつかの問題が重なったときに、ひとつでも判っている事が多いほうが当然いいですよね。ウチのチーム力が、残念ながらまだそのレベルにはないという事です。この様な状況は来年には解決していなければいけないので、今は人を雇ったり、プロセスを作ったり、設備を準備したりと、あらゆる面で改善しようとしていう最中です。前にも言いましたが、当たり前のことを当たり前にやるのが、新しいチームだとどれだけ難しいかっていう事を痛感しています。ですからとても忙しいです(苦笑)。それでもこうしてチームを作っていく一端を担えるというのはとてもやりがいがあります。

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