ただし、仮にあのスピンがなくても、この日フェルスタッペンは優勝できなかったかもしれない。というのも、18周目にピットインしてインターミディエイトにタイヤを交換したフェルスタッペンは25周後の43周目に3度目のピットストップを行い、三たびインターミディエイトにタイヤを交換していたからだ。
「すぐに劣化してしまうインターミディエイトで、ただひたすら前を走るマシンを追い、グリップがなくなって、サバイバルするだけの複雑なレースだった」(フェルスタッペン)
この日のレッドブル・ホンダがタイヤに厳しかったことは、スピンしたフェルスタッペンに代わって3番手に浮上したアルボンも、12周目に交換したインターミディエイトを最後までもたせることができずに、34周目にピットインして、結局7位でチェッカーフラッグを受けていたことでもわかる。
これに対して、勝ったメルセデスのアンドリュー・ショブリン(トラックサイドエンジニアリングディレクター)は、勝因を次のように分析した。
「今日はDRSがない状態では本当にオーバーテイクが難しかった。したがって、ピットウオールで戦略に関する最大のポイントはインターミディエイトをどれだけ引っ張るかだった。その期待にルイスは見事に応えた。彼のタイヤのマネージメントは本当に素晴らしかった」
8周目に中古のインターミディエイトに交換したハミルトンは、その後50周をノンストップで走り切り、予選6番手から見事な大逆転優勝を成し遂げた。
2021年にメルセデスを倒して王座を勝ち獲りたいレッドブル・ホンダにとって、今回のトルコGPは新たな課題が明確になった一戦となった。


