──ルイス・ハミルトンが新型コロナウイルス陽性で、欠場を決めました。今年のレッドブル・ホンダはメルセデス、なかでもハミルトンに勝てない1年でしたが、その意味で今週末のハミルトンのいないレースはどう捉えてますか。
田辺TD:いつもメルセデスがいる、いつもハミルトンがいるというのとは、今週末はちょっと違う。とはいえ我々の持てる力を100%発揮するという点は、まったく変わりません。
──メルセデスは、ドライバーふたりは特に厳格な隔離状態でやっていたはずですが、それでも感染しました。これだけ気をつけてもかかる恐れがあるというのも、別の意味でのストレスですか。
田辺TD:トト(ウォルフ/チーム代表)の話を聞いていても、かなりドライバーに厳しい生活を強いていたようです。それでも、感染してしまう。他にもパドック内で、何度もPCR検査をするなかで、陽性者が何人か出ています。ひとり陽性者が出ると、車やオフィスを共有していた場合、何人もが濃厚接触者として隔離措置が取られる。すでに最小人数でレースチームは運営されてますから、非常に厳しい状況になります。
ファクトリーから助っ人を呼ぼうにも、たとえばアブダビに直接入ろうとしたら、12日前、7日前、3日前、到着直前、到着直後の5回の検査で陰性を証明しないと、サーキットに入れない。もし自分が感染したら、みんなに多大な迷惑をかけてしまう。そういうプレッシャーをいつも感じながら、毎日過ごしてますね。

──本当に大変ですね。
田辺TD:皆で自由に談笑したり、ご飯を食べたり、勝ったら抱き合って喜ぶとか、そういうことができる日がいつになったら来るんだろうと思ってしまいます。
──来週の最終戦が終わった時には、今年は今までと違う1年が終わったという感慨を抱くんでしょうね。
田辺TD:そう思います。レースのプレッシャー、肩の荷が降りたという部分と、1年間コロナにかからないように過ごせたという安堵。それは、感じるでしょうね。ただシーズンが終わっても、すぐには状況は変わらない。イギリスのオフィスでも、同じように気をつけながらやっていかないといけない。いつまでかわかりませんが、細心の注意を払って行動するしかないですね。


