更新日: 2021.01.04 17:21
徹底的なエネルギーマネージメント研究でERS回生量を改善。ホンダF1、2021年は新型PU投入で大きく飛躍へ
ホンダにとって最後の1年となる2021年は、大きく設計刷新した新型パワーユニットが1年前倒しで投入される。
関係者によれば2020年型RA620Hもピークパワーだけで言えばメルセデスAMGに限りなく近いところまで来ていたといい、この燃焼コンセプトにはまだ伸びしろが残されていたというが、新型パワーユニットではそれ以上に大きな飛躍を遂げるということだ。
課題はやはり現状で負けていたERSとりわけMGU-Hからの回生量とエネルギーマネジメントをいかに向上させられるか。とはいえ、「負けている」とはっきり公言できるということはターゲットとすべきライバルの性能も見えており、その解決策もある程度見えているということなのだろう。
大きくデザインを刷新するとなれば信頼性の不安も出てくるが、これまでの経験を経てホンダのベンチテスト技術は格段に進歩している。それに、1基余分に投入したとしても1戦最後尾スタートを強いられるだけなのだから、1基や2基壊してでも最高のパワーを追求して(そのコンポーネント1基あたりで走る)残り6〜7戦でより高いパフォーマンスを発揮するくらいの徹底的な攻めの姿勢を見せてもらいたいくらいだ。ホンダファンが最後に見たいのは、そんなホンダらしいチャレンジの仕方なのではないだろうか。
ホンダの最終年にF1デビューすることが決まった角田裕毅は、自身が語っている通りシーズン開幕当初から攻めの姿勢を貫くだろう。ミスも犯すだろうが、そのミスによってマシンと自身の限界を学び、より速いペースで学習し成長していく。そのなかで目覚ましい走りを見せることもあれば、結果が残せないこともあるだろう。ピエール・ガスリーも速いうえに成熟期を迎えているドライバーだけに、簡単に勝てるとは思わない方が良い。
しかしヘルムート・マルコが期待し評価するのは、結果よりも瞬間瞬間の輝きだ。シーズン前半はそうしたダイヤの原石であることを示す輝きを時折見せれば良い。そしてシーズン後半に学習の成果を結果へとしっかり結びつければ、彼のF1ドライバーとしての評価は固まる。
ホンダが2021年限りで撤退することとは無関係に、ひとりのドライバーとして評価され求められるようになればいい。それが1年目の角田に求められることであり、ホンダに対しての最大級の恩返しになる。そしてそれが我々ファンにとっても最大の喜びになる。
2021年のホンダと角田裕毅には、我々に感動と興奮と勇気を与えてくれるような戦いぶりを期待したい。