更新日: 2021.02.07 11:24
【2021年F1マシン変更点】空力バランスを大幅に変える車体後部が簡素化。最低重量も増加へ
だが、2021年に新しくなるのはマシンの名称や、ましてやチーム名だけではない。テクニカルレギュレーションに加えられた、一見したところ小さな変更によって、マシンの外観は2020年からかなり異なるものになるはずだ。そしてボディワークの開発は制限されていない。
最も分かりやすく、そしておそらくは最も重要な変更はマシンの後部に見られる。リヤホイール前のリヤフロアがかなり簡素化され、幅が減らされたのだ。リヤブレーキダクト周辺のウイングレットはサイズが縮小され、ディフューザーのストレーキもサイズが縮小されて簡素化された。
こうした変更を列挙しても軽微なものに思えるかもしれないが、これらはマシンの空力バランスを大幅に変えることになるし、マシンのフロントエンドにも重要な影響を与える。チームは失われた多くのダウンフォースを取り戻し、マシンバランスをタイヤが適正範囲で挙動する領域内に維持しようと努力している。
相変わらずタイヤは未知の部分がある領域だが、ピレリは2021年に新しいコンパウンドとコンストラクションを導入する。また、フロントタイヤの形状が2020年からわずかに変更される。これにより、空力パフォーマンスがさらに複雑になるだけでなく、2020年タイヤ向けにデザインされたサスペンションシステムにも課題がもたらされた。
パワーユニットは大部分が原則として凍結されるが、マニュファクチャラー4社すべては大幅な変更を行うつもりだ。アップデートはルールで厳しく制限されているが、それにもかかわらずアップデートを導入する方法がある。メルセデスはパフォーマンスを伸ばすために信頼性の改善を図る予定だ。
一方、ホンダはF1での最終年となる2021年、大きな前進を果たすと考えられている。ルノーのパワー不足のV6エンジンは多少改善されると見られるが、このパワーユニットはおそらく現在のグリッド上で一番競争力が低いもので、使用するのはアルピーヌだけだ。
フェラーリも大きな一歩を踏み出すと予想されている。それはFIAとの謎の協定が満了になるからだ。この協定は、2019年に技術規則違反を疑われた結果として誕生したものだが、協定がどのような内容で構成されているかの詳細は明らかにされていない。しかし、フェラーリは2021年仕様のパワーユニットは2020年よりもはるかに強力になるだろうと表明している。
2021年マシンは最低重量も752kgまで増加される。これは主にパワーユニットの最低重量が150kgに引き上げられるという変更によるものだが、珍しく、そして高価な軽量合金の使用を削減しようという試みの結果でもある。
現在では、マシンの他の部分に新しい素材を使用することが可能だ。F1において初めて環境に優しい天然繊維複合材が使用できるようになり、以前は禁止されていた麻、リンネル、亜麻、綿は、現在すべて使用が許可されている。
したがって2021年のF1は、同じマシンを使用した2020年の技術開発競争の続きではある。一方でまったく異なる挑戦でもあり、非常に難しい結果がもたらされることがあり得ると言っても過言ではないだろう。さらに興味深いのは、各チームはシーズン中の競争力を維持しながら、新レギュレーションが導入される2022年向けの新型マシン開発に取り組むリソースを、どのように分けるのかということだ。