Tatsuya Otani

──では、SAF1で楽しかった思い出はありませんか?
琢磨:
たくさんあります! やっぱり入賞したレースですね。

亜久里:そう、07年のスペインで最初にポイント獲ったときね。ピットアウトしてきたジャンカルロ・フィジケラをスパッと抜いていったときはすごかった。あと忘れられないのは、やっぱりカナダ。トヨタのラルフ・シューマッハーを抜いて、マクラーレンのフェルナンド・アロンソも抜いたときは、観客席がザワついたよね。

──しかしSAF1は08年のスペインGPで活動を休止しました。
亜久里:
その直前に僕がチームを売るとか、いっぱい話が出ていたけれど、全部ガセだった。こっちはさ、本当にワラをもつかむような思いで世界中に飛んで、たくさんの人に会ってきたけれど、どれもダメだったね。世界中にこんなにいっぱい詐欺師みたいなヤツがいるんだってビックリしたよ。

最後の最後に進めていた話だけはうまくいくと思っていたんだけど、結局ダメだったね。琢磨もそうだけど、チームのメンバーがみんな頑張ってくれていたから(活動休止は)本当にみんなに申し訳ないと思っていたんだ。

たとえ俺がオーナーじゃなくなったとしても、チームが続いていければみんなは働いていけるでしょ。だから何とかしたいという気持ちが強かった。

──SAF1が活動を休止した2年後の10年から琢磨さんはインディカーシリーズへの挑戦を開始しました。今後の琢磨さんにどんな期待を抱いていますか?
亜久里:
琢磨はもうアメリカで確固たるポジションを築いたでしょ? だから、もう日本に帰ってこないほうがいいと思うんだ。それで、アメリカで受け皿を作って、日本人の若い子を育てるみたいなことをしてほしい。

だってさ、インディ500で2回勝つって、アメリカじゃ本当にすごいことなんだから。レースの世界では琢磨のことを知らない人はいないと思うよ。

──それでは琢磨さんにARTAのアメリカ支部でも作ってもらいますか?
亜久里:
アハハハハ。さっきも言ったけど、琢磨が43歳で俺が60歳だからさ。俺も、いつまでも頑張れるわけじゃない。琢磨みたいな若い子たちに後を継いでもらわないと、日本のモータースポーツ界も世界のモータースポーツ界も次につながっていかないと思うよ。

琢磨:レーシングドライバーとしても若手育成の面でも亜久里さんは大先輩だから、いつかはじっくりお話をさせていただくときがくると僕も思っています。

今回の対談の様子
今回の対談の様子

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 誌面では琢磨がインディ500を初めて制した際に亜久里が琢磨へ送ったメールやF1での共闘エピソードについて、ふたりがより詳細に回想している。当時を知るF1ファンだけでなくモータースポーツフリークならば必読の内容となっている。

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