「父親が活躍したラリークロスでシリーズを盛り上げて!」
by スコット・ミッシェル
「ラリークロスがしたいんだ」とバトンは言う。ならば、乗ればいい!
ジャーナリストとしては、公平であることはかなり重要だ。しかしリデンヒル(ラリークロスの聖地)に育ち、バトンのデビューと同時にF1ファンになった者にしてみれば、36歳の彼がラリークロスに出ると聞いたら、子供のようにうれしくなってしまう。
父親であるジョン・バトンが成功を収めたカテゴリーは、バトンにとっては大きな思い入れのあるものだ。同様の成功を手にするだけのポテンシャルは高いうえに、アメリカを拠点とするグローバル・ラリークロス選手権ではフォルクスワーゲンがビートルでのワークスプロジェクトを展開している。なんならジョンが彼のビートルとともに飾ったAUTOSPORT誌の表紙を再現するよう、編集者に働きかけたい。
バトン対セバスチャン・ローブ対ペター・ソルベルグ対マティアス・エクストロームの勝負がもし見られるなら、モータースポーツに少しでも熱をあげたことのある者にとっては、まるで天からの贈り物だ。
当然ながら問題として浮上するのは、どこで乗るかだ。父親との繋がりがあるとはいえ、バトンの務めるアンバサダー的な役職が、アンドレッティ率いる米国拠点のフォルクスワーゲンとのタイアップを禁ずる可能性もある。しかし実質的には、バトンが泥にまみれての戦いを好むか否かにかかってくるだろう。

今年はじめ、ホンダはシビッククーペをベースとしたRXマシンを発表、グローバルRXに参戦し、表彰台を獲得している。つまり、ホンダベースのマシンとしてはこれがバトンにとって最も競争力のあるオプションのひとつということになる。
「F1とは大きく違うけれど、だからこそ好きなんだ」とバトンは以前語った。「どこでレースをしたいかに関しては、まだ不確かだ。グローバルなのか、世界選手権なのか」
ただ、もしも(この「もしも」は当然ながら非常に大きな仮定ではあるが)ホンダでグローバルに出場するならば、ワールドRXのリデンにワイルドカード参戦してほしい。2014年にシリーズが生まれ変わって以来、リデンは多くの観客を魅了してきた。バトンの参戦は、すでに上質な雰囲気を持つシリーズを、さらなる高みに導くことだろう。