翻訳・まとめ 柴田久仁夫 / Kunio Shibata

 アルファタウリやアルファロメオとは対照的に、レッドブルはトークンを使用して具体的にどこに改良を加えたか明らかにしていない。

 しかし発表された画像を分析すると、リヤサスペンションが去年型とは違っていることがわかる。最も目立つ違いは、RB16ではロワーアームの間に入っていたプルロッドが、前に出ていることだ(緑矢印参照)。

レッドブル・レーシングF1の2021年型『RB16B』と2020年型『RB16』の比較(リヤサスペンション)
レッドブル・レーシングF1の2021年型『RB16B』と2020年型『RB16』の比較(リヤサスペンション)

 下の写真の比較で明らかなように、これはプルロッドが前進したと言うより、ロワーアーム自体が後退したという表現がより正確であろう(青く塗られた部分)。これはアッパーアームをより後ろに取り付けたことに伴う処理である。

 メルセデスが去年のW11で同様のレイアウトを採用したのは空力効率の向上と、タイヤへの負荷を軽減させるためだった(メルセデスのリヤサスの方がコンパクトに見えるのは、プルロッドの大部分がボディ内に格納されているため)。

レッドブル・レーシングF1の2021年型『RB16B』と2020年型『RB16』、メルセデスの2020年型『W11』と2019年型『W10』のリヤサスペンション
レッドブル・レーシングF1の2021年型『RB16B』と2020年型『RB16』、メルセデスの2020年型『W11』と2019年型『W10』のリヤサスペンション

 RB16Bはさらに、アッパーアームの形状やアップライト側の取り付け位置も、RB16より僅かながら変わっている(一番上の写真:オレンジ色矢印参照)。どうやらレッドブルはリヤエンドの変更に、トークンを使用したと考えて良さそうだ。

 マシンリヤでは、RB16でエキゾーストの上部にあったターボの排出パイプが、RB16Bではなくなっているように見える(一番上の写真:青矢印参照)。ただしリヤのクラッシュ構造に金色の断熱材が巻かれていることから、エキゾースト下部に位置を移しただけかもしれない。

 ちなみに今季はほぼ全てのエンジンメーカーが、ターボ排圧の有効利用が進んだことから、ウェイストゲートを撤廃しているようだ。ウェイストゲートがなくなれば、排出パイプの必要もなくなる。

■ホンダ製パワーユニットはさらにパワフルに

 今年末でのF1活動終了を表明しているホンダは、レッドブルと共にタイトルを獲得することを目標に掲げている。そのためにパワーユニット(PU/エンジン)開発陣は、2022年に投入予定だった技術を、1年前倒しで盛り込むことを決めた。RA621Hはエンジン本体、ターボ、そしてMGU-Hのいずれにも新技術が盛り込まれた。さくらR&Sでのベンチテストでは、期待した数値に達しているとのことだ。

 クリスチャン・ホーナー代表によれば、RB16Bは60%のパーツがRB16から引き継がれたものだという。去年型の高い戦闘力を維持し、不安定なリヤ挙動などの欠点の改善に集中したマシンといえるだろう。例年、開幕序盤では苦戦することが多いレッドブルだが、今季はスタートダッシュを期待できそうだ。

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