翻訳・まとめ 柴田久仁夫 / autosport web / Kunio Shibata

5)フェラーリはPUより車体で向上か

 昨年型SF1000のアキレス腱が、非力さが露呈されたパワーユニット(PU/エンジン)だった。しかしフェラーリ開発陣は、今季のPUに大きな改良を加えた。ただし基本的なレイアウトに変更はない。タービンとコンプレッサーはこれまで同様エンジン本体の後部に置かれたままだ。改良点は、直接目に触れない部分ということになる。

 ではどれほどの出力向上を果たしているのか。チーム側はいっさいの数値を発表していない。イタリアのあるメディアは、20数馬力アップしたと報じている。しかし昨年のフェラーリ製PUはメルセデスより少なくとも40馬力劣っていたと言われており、これでは追いついていないことになる。

 とはいえ今季のPUが飛躍的に進化していなかったとしても、バーレーンテストでの新車SF21が相対的に去年のSF1000より速かったのは間違いない。昨年のフェラーリはストレートでの最高速も悲惨なほどに遅かったが、バーレーンテストではまったくそんなことはなかった。ドラッグの大きかった空力が、かなり改善されていることは間違いない。

フェラーリSF21とSF1000のサスペンション
フェラーリSF21とSF1000のサスペンション

 フェラーリはトークンを使って、リヤサスペンションとギヤボックスに改良を加えたことは分かっている。しかし外見からでは、サスペンションジオメトリーに顕著な変化は見られない。変更点はむしろギヤボックスケースと思われる。ケースが上に持ち上がり、下方の気流がより大量に流れるようになった。

 来季2022年に大幅な技術規約変更を控え、今季は過渡的な1年になると見られていた。しかしこれら5つの変更点を見るだけでも、各チームは精力的な車体アップデートに励んだことは確かである。

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